UIXHERO

ユーザーインタビュー

ユーザーと直接対話し、行動の背景・潜在ニーズ・価値観を深く理解する定性調査手法。

2026年3月18日
更新: 2026年8月27日
5
by Dengen Yosho(DGYS)

「ユーザーに聞けばユーザーが欲しいものがわかる」——この思い込みが、どれだけ多くのプロダクトを失敗に導いてきたか。

Appleは「顧客に何が欲しいか聞いてはいけない」と言い、Fordは「もし顧客に何が欲しいか聞いていたら、彼らは『もっと速い馬』と答えただろう」と言った。これらの言葉は「インタビューは無意味」という意味ではない。聞き方を間違えると無意味になるという警告だ。

ユーザーは自分の行動を正確に説明できない。むしろ後付けで理由を捏造する。「便利ですか?」と聞けば「便利です」と答える。しかし実際には使っていない。この矛盾を理解せずにインタビューをすると、聞きたい答えを聞いて終わる。


1. 手法の定義

ユーザーと直接対話し、行動の背景にある動機・文脈・価値観を理解する定性調査手法。

アンケートでは「どれくらいの人が」を知れるが、「なぜそうなのか」は分からない。インタビューは「Why」を掘り下げるために行う。ただし「意見」ではなく「事実としての行動」を聞くことが本質。


2. いつ使うか

適している場面

  • 開発初期の課題発見: 何を作るべきか分からない時、ユーザーの課題を探索する
  • アンケート結果の深掘り: 「30%が不満」という数字のを理解したい時
  • ペルソナ・ジャーニーマップの素材: 具体的なエピソードと感情を収集したい時
  • プロトタイプの評価: なぜ使いにくいと感じたかを理解したい時(と併用が有効)

向いていない場面


3. 設計判断の核

ユーザーインタビューは「意見を聞く手法」ではない。行動の背景にある動機と文脈を理解する手法である。

よくある誤解

ユーザーに「何が欲しいですか?」と聞けば、欲しいものがわかる。

実際

人は自分の行動理由を正確に説明できない。「使いたいですか?」と聞けば「使いたい」と答えるが、実際には使わない。態度(言っていること)と行動(やっていること)は違う。

設計判断の基準

  • 「この質問は意見を聞いているか、事実を聞いているか?」→ 意見なら言い換える
  • 「この質問は誘導していないか?」→ 「便利ですよね?」はNG
  • 「過去の具体的なエピソードを聞けているか?」→ 「最後に〇〇したのはいつですか?」

4. 調査タイプ

内容
データ定性
対象態度(発話)
サンプル5〜8人
実施フェーズDiscover / Define

手法のポジション

深さ(Why)
↑
ユーザーインタビュー ← ここ
↑
ユーザビリティテスト
↑
サーベイ
→ 規模(How many)

インタビューは最も深い理解が得られるが、規模は小さい。サーベイは規模が大きいが深さは浅い。

補足: インタビューで得られるのは「態度(発話)」だが、行動の事実を聞くことで行動理解に近づける。


5. 実施プロセス

1. 調査設計

  • 目的: 何を知りたいか(例: 購入を諦める理由)
  • 仮説: 予想される答え(例: 価格が高いと感じている)
  • リサーチクエスチョン: 具体的な問い

2. 参加者募集

  • 対象: に近い人(極端なヘビーユーザーに偏らない)
  • 人数: 5〜8人(多様性を確保)
  • 謝礼: 60分で3,000〜5,000円程度

3. 調査実施

インタビューガイド構成

  1. 導入(5分): 目的説明、同意取得、アイスブレイク
  2. ウォームアップ(5分): 背景・経験を聞く
  3. メイン質問(30分): 核心に迫る質問
  4. クールダウン(5分): 追加で伝えたいこと

傾聴のポイント

  • 沈黙を恐れない(3〜5秒待つ)
  • 相槌を打ちすぎない
  • メモは最小限に(目を見て聞く)
  • 「なぜ?」を繰り返して深掘りする(5Whys)

4. 分析

  1. 文字起こし: 録音を元に発言を書き起こす
  2. コーディング: 発言をテーマ別にタグ付け
  3. アフィニティダイアグラム: 類似するタグをグループ化
  4. インサイト抽出: パターン・矛盾・例外を整理し、結論を導く

6. 実務チェックリスト

最低ライン(Must - これがないと失敗)

理想ライン(Better - プロの品質)


7. 関連リンク

関連するUXリサーチ手法

関連するUX心理

関連する用語


まとめ

は「意見を聞く」手法ではない。行動の背景にある動機と文脈を理解する手法である。「使いたいですか?」ではなく「最後に使ったのはいつですか?」と聞く。インタビューで仮説を作り、サーベイやA/Bテストで検証する——これがUXリサーチの基本サイクルだ。

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最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

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