UIXHERO

サーベイ

多数のユーザーに同じ質問を行い、定量的なデータを収集する調査手法。

2026年3月18日
更新: 2026年8月27日
5
by Dengen Yosho(DGYS)

「90%のユーザーが満足している」——この数字を信じていいのか?

サーベイ結果は、聞き方ひとつで180度変わる。「この機能は便利ですか?」と聞けば、多くの人が「便利です」と答える。しかし実際には使っていない。「環境に配慮した製品を選びますか?」と聞けば、ほぼ全員が「はい」と答える。しかし実際には安い方を選ぶ。

これが態度と行動のギャップだ。サーベイで主に得られるのは「態度(回答)」であり、実際の「行動」そのものではない。この違いを理解せずにサーベイを設計すると、「聞きたい答え」を聞いて終わる。


1. 手法の定義

多数のユーザーに同じ質問を行い、定量的なデータを収集する調査手法。

「どれくらいの人が」「何を」感じているかを数値で把握できる。ただし「なぜ」そう感じているかは分からない。サーベイは規模を把握する手法であり、深さを掘る手法ではない。


2. いつ使うか

適している場面

  • 規模感の把握: この問題を抱えるユーザーはどれくらいか
  • 優先順位付け: どの機能改善を先にすべきか
  • 継続的なモニタリング: ・CSATの定期計測
  • セグメント比較: 新規と既存で満足度が違うか

向いていない場面


3. 設計判断の核

サーベイは「意見を集める」手法ではない。正確なデータを取るために、バイアスを排除する手法である。

よくある誤解

「満足していますか?」と聞けば、満足度がわかる。

実際

人は「満足している」と答えたがる(社会的望ましさ)。「この機能は便利ですか?」と聞けば「便利です」と答えるが、実際には使っていない。質問の仕方で回答は180度変わる。

設計判断の基準

  • 「この質問は誘導していないか?」→ 「便利ですよね?」はNG
  • 「意図ではなく行動を聞いているか?」→ 「使いたいですか?」→「先週使いましたか?」
  • 「1問で2つのことを聞いていないか?」→ 「使いやすくて楽しいですか?」はダブルバーレル

4. 調査タイプ

内容
データ定量
対象態度(回答)
サンプル100人以上
実施フェーズDefine / Deliver

手法のポジション

深さ(Why)
↑
ユーザーインタビュー
↑
ユーザビリティテスト
↑
サーベイ ← ここ
→ 規模(How many)

サーベイは最も規模が大きいが、深さは浅い。サーベイだけで「なぜ」を理解しようとすると失敗する。

補足: サーベイで得られるのは「態度(回答)」。「使いたいですか?」ではなく「先週使いましたか?」と行動の事実を聞くことで、行動理解に近づける。


5. 実施プロセス

1. 調査設計

  • 目的: 何を知りたいか
  • 対象者: 誰に聞くか
  • 仮説: 予想される結果
  • 用途: 結果をどう使うか

2. 質問設計

質問構成

  1. 質問(対象外を除外)
  2. メイン質問(5〜10問)
  3. グラフィック質問(属性は最後)

質問設計のルール

  • を避ける(1問で2つ聞かない)
  • を避ける(「便利ですよね?」はNG)
  • 意図ではなく行動を聞く(「使いたいですか?」→「先週使いましたか?」)

3. 配信・回収

  • サンプルサイズ: 100件以上が目安
  • 回収率向上: インセンティブ、短い所要時間、明確な目的説明
  • 所要時間: 5分以内(5分超で離脱率急上昇)

4. 分析

  • クロス集計: 別の傾向
  • 自由回答の分類: キーワード抽出、カテゴリ分け
  • アクションプラン: 具体的な改善施策に接続

代表的な指標

指標質問用途
NPS「友人に勧める可能性は?」(0-10)測定
CSAT「満足度は?」(1-5)特定体験の評価
SUS10項目の質問票

※ 指標は便利だが、単独では原因はわからない。必要に応じて自由回答やインタビューと組み合わせる。


6. 実務チェックリスト

最低ライン(Must - これがないと失敗)

理想ライン(Better - プロの品質)


7. 関連リンク

関連するUXリサーチ手法

関連するUX心理

関連する用語


まとめ

サーベイは「意見を集める」手法ではない。正確なデータを取るために、バイアスを排除する手法である。インタビューで仮説を作り、サーベイで規模を検証し、で行動を確認する——これがUXリサーチの基本サイクルだ。

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最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

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