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日記調査

ユーザーに一定期間記録をつけてもらい、時間経過に伴う行動・感情の変化を追う定性調査手法。

2026年3月19日
更新: 2026年8月27日
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by Dengen Yosho(DGYS)

「1回のインタビューで、ユーザーの生活は見えない」——これはリサーチャーが直面する構造的な限界だ。

60分のインタビューで聞けるのは、その瞬間の記憶と解釈だけだ。「先週どう使いましたか?」と聞いても、ユーザーは印象に残った出来事しか思い出せない。日常的に繰り返される行動、徐々に変化する感情、習慣化されたパターン——これらは1回の調査では捉えられない。

だから時間を味方につける必要がある。ユーザー自身に、その場で、その瞬間の行動と感情を記録してもらう。これが日記調査だ。


1. 手法の定義

ユーザーに一定期間(数日〜数週間)記録をつけてもらい、時間経過に伴う行動・感情の変化を追う定性調査手法。

リアルタイムで記録するため、を軽減できる。ユーザーの生活文脈の中で、継続的な体験を理解することが目的だ。


2. いつ使うか

適している場面

  • 継続的な体験を理解したい: 習慣形成、長期利用、
  • 回顧バイアスを避けたい: 「思い出す」のではなく「その場で記録」
  • 生活文脈を理解したい: 製品が日常にどう組み込まれるか
  • 変化のきっかけを知りたい: 何が行動や感情を変えるか

向いていない場面


3. 設計判断の核

日記調査は「思い出してもらう」手法ではない。「その場で記録してもらう」手法である。

よくある誤解

週末にまとめて1週間分を書いてもらえばいい。

実際

まとめて書くと、結局「思い出す」作業になる。これではインタビューと変わらない。日記調査の価値はリアルタイム性にある。行動のその瞬間、感情が生じたその瞬間に記録することで、回顧を排除する。

設計判断の基準

  • 「記録の負荷は適切か?」→ 1回5分以内が目安
  • 「トリガーは明確か?」→ いつ記録するかを具体的に指示
  • 「継続できる期間か?」→ 1週間が、2週間以上は脱落率が上がる

4. 調査タイプ

内容
データ定性中心(頻度などの定量要素を含む)
対象態度(自己報告)+ 行動(記録)
サンプル10〜30人
実施フェーズDiscover / Define

手法のポジション

深さ(Why)
↑
フィールドスタディ
↑
日記調査 ← ここ(時間軸の深さ)
↑
ユーザーインタビュー
→ 規模(How many)

日記調査は時間軸での深さが特徴。1回の観察では見えない、継続的な行動パターンや変化を捉えられる。

補足: 日記調査で得られるのは「態度(自己報告)」が中心だが、写真や行動ログを組み合わせることで行動理解にも近づける。


5. 実施プロセス

1. 調査設計

  • 目的: 何の変化・パターンを理解したいか
  • 期間: 1〜2週間が標準(長すぎると脱落率上昇)
  • 頻度: 1日1回、特定イベント発生時、など
  • 記録形式: テキスト、写真、音声、選択式など

2. 参加者募集

  • 対象ユーザー: 調査期間中に対象行動を行う人
  • 人数目安: 10〜30人(脱落を見込んで多めに募集)
  • コミットメント確認: 継続できるか事前に確認

3. 調査実施

記録ツール

  • 専用アプリ(dscout、Indeemo等)
  • 汎用ツール(LINE、、Google Forms)
  • 紙の日記帳

記録の促し方

  1. トリガーを明確に: 「アプリを使ったら記録」「寝る前に記録」
  2. リマインダー: 毎日同じ時間に通知
  3. 負荷を下げる: 1回5分以内、選択式+自由記述の組み合わせ
  4. フィードバック: 中間で「いい記録ですね」と励ます

4. 分析

  • 時系列分析: 時間経過での変化を追う
  • パターン抽出: 繰り返される行動・感情のパターン
  • トリガー特定: 変化のを特定
  • インサイト抽出: 「なぜ」は後続インタビューで深掘り

6. 実務チェックリスト

最低ライン(Must - これがないと失敗)

理想ライン(Better - プロの品質)


7. 関連リンク

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まとめ

日記調査は「思い出してもらう」手法ではない。「その場で記録してもらう」手法である。1回のインタビューでは見えない継続的な体験——習慣形成、感情の変化、行動パターン——を捕らえられる。日記で変化を捕らえ、インタビューで理由を理解し、サーベイで規模をする——これがUXリサーチの基本サイクルだ。

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最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

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