この記事の要点
- 「UX診断」「UIレビュー」は決まった中身のある言葉ではありません。同じ名前で、まったく違うものが売られています。だから比べるときは名前ではなく、返ってくるものを見ます
- 返ってくるものは大きく4種類あります。どこまで含むかで金額が変わるので、見積もりを取る前に揃えます
- 届いた報告書が使えるかどうかは、受け取ったその場で確かめられます。見るところを5つに絞ります
自分たちの画面を、外の人に見てもらいたい。そう思って調べると「UX診断」「UIレビュー」「デザイン診断」といった名前が並びます。ところが説明を読んでも、何が返ってくるのかがどこにも書いていないことがあります。
理由は単純です。これらは決まった中身のある言葉ではありません。 業界で定義が共有されているわけでもなく、会社ごとに指す範囲が違います。
この記事では、返ってくるものの種類を先に整理して、依頼する前に確認することと、届いたものが使えるかどうかの見分け方をまとめます。
まず、名前ではなく「人を呼ぶかどうか」で分ける
中身がばらばらだと言っても、いちばん大きな分かれ目は1つだけです。実際の利用者を呼ぶかどうかです。
| 呼び名の例 | 実際の利用者 | 分かること |
|---|---|---|
| UX診断・UIレビュー・専門家レビュー・ヒューリスティック評価 | 呼ばない | 直す場所の当たり |
| ユーザビリティテスト・ユーザビリティ調査 | 呼ぶ | 人が実際にどこで詰まるか |
この記事が扱うのは上の行です。 人を呼ばないぶん安く早く済みますが、実際の人が詰まるかどうかは分かりません。 どちらが要るかの見分け方と、人を呼ぶ側の頼み先は ユーザビリティテストはどこに依頼すればいいか にまとめてあります。
注意が要るのは、上の行のものが「ユーザビリティ調査」という名前で売られていることがある点です。名前だけでは判断できないので、次の章で成果物を確認します。
返ってくるものは、大きく4種類
見積もりを比べる前に、どこまで含むかを揃えます。含む範囲が違うものを金額で比べても、比べたことになりません。
| 返ってくるもの | 何が書いてあるか | これだけだと足りない場面 |
|---|---|---|
| ① 指摘の一覧 | どこが、どう問題か | 直し方の判断が社内にないとき |
| ② 改善案 | ①に加えて、どう直すかの方針 | 実際の画面を作る人が別にいるとき |
| ③ 作り直し案 | ②に加えて、修正後の画面そのもの | 実装まで頼みたいとき |
| ④ 数字の裏付け | ①〜③に加えて、アクセス解析から見た該当箇所の状況 | ー |
いちばん多いのは①と②です。 ③まで含むものは制作と地続きなので、金額も日数も一段上がります。④は診断とは別の作業で、アクセス解析の設定がそもそも入っていないと成立しません。
「レポートを納品します」という書き方だけでは、①なのか③なのか分かりません。 見積もりを依頼するときに「指摘の一覧までか、直し方の方針までか、画面までか」を明示して聞いてください。同じ質問を各社に送るだけで、金額の差の理由がほぼ説明できます。
頼む前に決めておく4つ
診断は、対象が決まっていないと見積もりが出ません。次の4つを先に決めておくと、そのまま依頼文になります。
| 決めること | 決まっていないと何が起きるか |
|---|---|
| 対象の画面と、その数 | 「サイト全体」では見積もれない |
| この診断で何を判断したいか | 報告書は届くが、決めたかったことが決まらない |
| 報告が必要な日 | 相手が枠を確保できない |
| 報告を受けたあと、誰が直すか | 報告書が読まれずに終わる |
2つめは書き方で結果が変わります。「使いやすくしたい」では判断できません。 「この申し込みフォームを、いまの形のまま公開していいかを決めたい」「新規の会員登録を、作り直すかどうかを決めたい」のように、その診断が終わったときに何が決まっていてほしいかを書きます。
4つめは見落としやすいところです。診断は問題の場所を示すところまでで、直す作業は含まれないことがほとんどです。 受け取ったあとに手を動かす人と時間が確保できていないなら、診断の日程を後ろにずらすほうが結果的に早く進みます。
届いた報告書が使えるかどうか、5つで見分ける
ここがこの記事でいちばん実用になるところです。報告書の良し悪しは、専門知識が無くても受け取ったその場で確かめられます。
1 指摘が、画面のどこを指しているか特定できるか
「全体的に情報量が多い」では、直す場所が決まりません。画面名と、その画面の中のどこかが分かる形になっているかを見ます。画面の写しに印が付いている、あるいは画面に書いてある文字がそのまま引用されているのが、いちばん確かめやすい形です。
2 指摘に、重さの区別が付いているか
20件の指摘が同じ重さで並んでいると、どれから直すかを結局こちらで決めることになります。 重い順に並んでいるか、段階のラベルが付いているか。付いているなら、その段階を何で決めたのかも一緒に聞いてください。
3 何を基準にした指摘なのかが書いてあるか
これが無いと、感想と区別が付きません。 基準は、広く知られた評価の観点でも、その会社が独自に持っている項目表でも構いません。大事なのは、その基準が依頼する前に見られることです。 依頼の段階で「何を基準に見ますか」と聞いて、答えが出てこない場合は注意してください。
4 そのまま作業に落とせる粒度か
「導線を改善する」は作業になりません。「一覧から詳細へ戻ったときに、絞り込んだ条件が消えている」なら作業になります。指摘をそのまま課題管理に貼れるかを1件ずつ見てください。
5 根拠が、読み手にも確かめられるか
「経験上こうです」で止まっているものと、「この画面ではこう書いてあり、押した結果がこうなる。だからこうなる」と書いてあるものでは、社内での通り方が違います。あなたが上司や別の部署に説明するとき、その報告書だけで説明できるかが実用上の基準です。
この5つのうち、3と5が抜けた報告書は「詳しい人の感想」です。 感想が無価値というわけではありませんが、社内の合意をつくる材料にはなりません。
診断では分からないこと
依頼する前に、届かないものも見ておきます。
- 実際の利用者がどこで詰まるか。 診断は人を呼ばないので、詳しい人の経験に照らした推測です。ここを確かめるにはユーザビリティテストが要ります
- どれだけの人がその問題に当たっているか。 割合はアクセス解析やアンケートなど、数を扱う調べ方の担当です
- 直す作業。 報告書は問題の場所を示しますが、直すのはあなたの側です
- 売上や申し込みが増えるという保証。 診断で分かるのは、いまの画面に何が起きているかまでです
- 社内の合意そのもの。 材料にはなりますが、決めるのはあなたの会社です
1つめと2つめは、診断の弱点ではなく担当範囲の話です。 診断を先にして明らかな問題を潰し、そのうえで人を呼ぶ調査をすると、高い枠を誰でも気づく指摘で埋めずに済みます。社内で行うデザインレビューも、同じ順番で効きます。
人を呼ばない側の、1つの形
最後に、UIXHERO が関わっている選択肢を1つ置いておきます。この記事で扱った人を呼ばない側に当たるものです。
Design QA は、1つの画面を6つの観点で見て、出していいかどうかを3段階で判定する仕組みです。実際の利用者には使ってもらいません。 人が実際にどこで詰まるかを知りたい場合は、ユーザビリティテストのほうを選んでください。
前の章で「何を基準にした指摘なのかが、依頼する前に見られるか」と書きました。Design QA では、その基準を6観点62項目として全部公開しています。観点ごとに何を見るのかは UI検品の6観点 で1つずつ説明していて、頼まずに自分の画面へ当てることもできます。
料金と申し込みは design-qa.com(design-qa.com を新しいタブで開く) で扱っています。
この記事は、UIXHEROがAI(Claude)と協働で制作しています。構成の判断と公開前の事実確認は人間が行い、下書き執筆はAIが担っています。
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