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アクセシビリティ診断はどこに頼むか — JIS準拠・一部準拠・配慮を名乗る条件

JIS X 8341-3:2016 の対応の段階としてサイトに書ける「準拠」「一部準拠」「配慮」は、どれもウェブアクセシビリティ方針の公開が条件です。自社サイトの状態に合わせて次に何を頼めばよいか、試験・点検・方針の作成・手直しの違い、見積もりの比べ方をまとめます。

2026年8月16日
更新: 2026年9月17日
約7分
by Dengen Yosho(DGYS)

取引先の要件に「JIS X 8341-3:2016」と書いてあった。あるいは、自社のサイトが障害のある人にも使えるかを確かめたい。この記事では、その確認を外に頼むときに、何を頼めばサイトに何と書けるようになるかをまとめます。

いまの状態から、次の一歩

JIS X 8341-3:2016 への対応の度合い(対応度)として、サイトに書けるのは「配慮」「一部準拠」「準拠」の3つです。どれを書くにも、ウェブアクセシビリティ方針(対象範囲や目標を書いて自社サイトで公開する1ページの文書。以下、方針)が要ります。

いまの状態次の一歩書けるようになる対応度
まだ何もしていない方針を作って公開する。目標を決める材料として、先に現状を点検(試験より手軽な確認)しておく配慮
方針を公開している試験を受ける一部準拠、または準拠(条件は次の節)
試験の報告書はあるが、方針が無い方針を作って公開する一部準拠、または準拠(条件は次の節)

試験は規格の手順で基準ごとに合否を出す検査で、点検とは別物です。3行目に当たるかは、手元の報告書で見分けます。試験したページの一覧と、達成基準ごとの判定の表(基準の番号ごとに「適合」「不適合」などが並ぶ表)がそろっていれば試験の報告書です。どちらかが無ければ点検の報告書で、方針を公開しても書けるのは「配慮」までです。試験の報告書を使うときは、方針に書く対象範囲と目標レベルが報告書と合っているか、試験の後に作り変えたページが無いかも確かめます。合わない部分は、試験し直します。


3つの対応度の条件

達成基準は、規格が定める1つずつの要求事項です。基準には適合レベルという段階があり、Aの基準が25、AAはそれに13を足した38です。方針に書く目標は、ふつうAかAAです。

対応度方針の公開に加えて要るもの
配慮目標とする適合レベルを方針に書く。試験は受けていなくてよい
一部準拠試験で、目標レベルの基準の一部を満たすと確かめる。満たせていない基準をいつまでにどう直すかを方針に書く
準拠試験で、目標レベルの基準を全て満たすと確かめる。試験結果を公開する

出典:情報通信アクセス協議会 ウェブアクセシビリティ基盤委員会「ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2016 対応度表記ガイドライン 2021年4月版」(以下、対応度表記ガイドライン)。一部準拠の試験結果の公開は任意です。

対応度は適合レベルごとに書きます。AAについて「一部準拠」と書けるのは、Aに準拠している場合だけです。 それまでは、目標がAAでも「Aに一部準拠」と書きます。

対応度の関係を示す図。上端の帯に「JIS X 8341-3:2016 の対応度。どれも方針の公開が条件」とある。左に「配慮」の枠があり、「試験は不要」「目標のレベルを示す」と書いてある。右は、行がレベルA(25基準)とレベルAA(+13基準)、列が一部準拠と準拠の4つのます目。レベルAの一部準拠は「25の一部を満たす」、レベルAの準拠は「25を全て満たす」、レベルAAの一部準拠は「25全て+13の一部」、レベルAAの準拠は「38を全て満たす」。レベルAの準拠のますから、レベルAAの一部準拠のますへ橙色の矢印が伸び、「前提」と書いてあるタップして拡大表示

どの対応度を書くときも、方針には、対応度表記ガイドラインに従った表記であるという一文と、参照した版(2021年4月版など)の掲載先URLを書き添えます。この注記の無い「準拠」は、が定めた表記として扱われません。方針の作成を外に頼むときは、納品物にこの注記が入っているかを確かめてください。

この規格には、適合を認証する制度がありません。対応度を書くのは、試験をした会社ではなく、サイトを運営する会社です。


頼めるものは4種類

「アクセシビリティ診断」という名前で売られているものは、中身で4つに分かれます。

頼めるもの中身対応度との関係
試験規格の手順でページを選び、達成基準ごとに判定して、ページの一覧と判定の表を含む報告書を出す一部準拠・準拠の根拠になる
点検(現状チェック)試験と同じ観点で問題を洗い出す。ページの選び方と報告書の書き方は規格に従わない根拠にはならない。方針に書く目標を決める材料になる
方針の作成方針の本文を作り、公開できる状態にする。自社で書いてもよいどの対応度にも要る
手直し見つかった問題を、実装まで含めて直す直した後に試験し直すと、一部準拠から準拠へ進める

頼む側は対象のサイトと機能を決め、その中から試験するページは依頼先が規格の手順で選びます。抜き取りで選ぶ場合は、何ページ選ぶかを依頼先と決めて、依頼の書面に残しておきます。

出典:同委員会「JIS X 8341-3:2016 試験実施ガイドライン 2020年12月版」2.2


見積もりを頼む前に決めること

決めること決め方
対象の範囲どのサイトの、どの機能までか。ログイン後や決済の画面を含めるなら、検査用のアカウントとデータを用意する
目標とする適合レベル取引先の文書に指定があれば、それに従う。公的機関はAA。公的機関から委託されたサイトは、発注の仕様書に従う。どれでもなければ、まずA
試験で使う基準取引先の文書が国際的な指針「 2.1」を指定しているなら、その版で試験するよう依頼先に伝える
直す人と時期一部準拠で方針に書く「いつまでに直すか」は、これが決まってから書ける

JIS X 8341-3:2016 は WCAG 2.0 と同じ内容で、2.1 で足された基準は入っていません。公的機関のAAは総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」5.3.1・5.3.5、委託先の扱いは同 6.4 による。法律で民間の事業者に義務づけられているのは、申し出への個別の対応(合理的配慮の提供。対応度の「配慮」とは別の語)です。サイトを誰でも使える状態にしておくこと(環境の整備)は努力義務です(2024年4月施行の改正障害者差別解消法)。

WCAG の基準の中身は WCAGの4つの原則 にまとめてあります。


見積もりの比べ方

同じ依頼文を各社に送り、金額と日数に加えて次の4点を並べて比べます。

  • 対象の量:ページ数と、画面の状態の数(を開いた状態、入力エラーが出た状態など)
  • 人が見る範囲:自動チェックのツールに任せる部分と、人が確かめる部分の割合
  • 支援技術での確認:画面を読み上げるソフトとブラウザの、どの組み合わせで確かめるか
  • 含まれるもの:方針の作成、直した後の再試験、報告書が試験のものか点検のものか

自動チェックで分かるのは、画像の代わりに読み上げる文(代替テキスト)や入力欄の名前が付いているかまでです。代替テキストが画像の内容を説明しているか、キーボードだけで最後まで操作できるかといった中身が適切かは、人が確かめます。人の確認が入っていない見積もりは、試験ではなく自動チェックだけの値段です。確かめ方は アクセシビリティの検証 にまとめてあります。

依頼先の種類(専門の会社・作った制作会社・個人・自社)ごとの向き不向きは、の外注と共通です。ユーザビリティテストはどこに依頼すればいいか にまとめてあります。


UIXHERO Design QA でできること・できないこと

UIXHERO Design QA では、点検(現状チェック)と方針の作成を受けています。他社サイトの試験も受けますが、まだ実施したことはありません。試験の範囲と費用は、点検(有料)の結果を見てからお伝えします。

自社サイトの design-qa.com では、方針を公開し、2026年8月29日に、サイトにあるページ全部とエラーページの計14ページを自社で試験しました(第三者による試験ではありません)。方針には「適合レベルAに準拠」「同AAに一部準拠」と書いています。AAで足される基準のうち3つを満たせていないため、方針には「2027年3月31日までにAAに準拠する」という期限を書いています。

次の場合は、ほかの会社のほうが向いています。

場面理由
Windows の読み上げソフト(NVDA・JAWS)での確認が要件にある私たちが確かめているのは macOS の VoiceOver と Safari の組み合わせだけです
数十ページ以上を、公的機関に提出する他社サイトの試験を実施したことがありません
直すところまで任せたい実装の手直しは扱っていません。直す箇所の指示までです

料金と申し込み方法、design-qa.com の方針と試験結果の実物は、アクセシビリティ現状チェックと方針の策定 にあります。


この記事は、UIXHEROがAI(Claude)と協働で制作しています。構成の判断と公開前の事実確認は人間が行い、下書き執筆はAIが担っています。

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最終更新: 2026年9月17日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

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