この記事の要点
- Trust(信頼)は、UI検品で使う6つの観点のうちの4つめです。画面に出ている内容が信じられる状態かを見ます
- 画面の種類で、見る中身がいちばん大きく変わる観点です。業務画面では「表記が事実と釣り合い、一貫しているか」が主役になります
- AIが作った1画面では、「本日の撮影 2」の下に「7/17」とだけあり、今日が7月17日なのか、7月17日に撮った分なのかが読めませんでした
Trust(信頼)とは何を見る観点か
UI検品では、1つの画面を6つの観点に分けて見ます。Clarity(明瞭さ)、Flow(導線)、Action(行動)、Trust(信頼)、Friction(摩擦)、Feasibility(実装性)の6つです。
このうち Trust が見るのは、画面に出ている内容が信じられる状態かです。確かめるのは3つ。
- 主張に対する根拠(実績、数字、第三者の声)が近くにあるか
- お金・個人情報に関わる箇所で、安心材料が示されているか
- 表現が事実と釣り合っており、画面内の表記が一貫しているか
この観点は、画面の種類で見る中身がいちばん大きく変わります。
申し込みや購入の画面なら、1と2が主役です。社内で使う業務画面では、その2つが当てはまらないことが多くなります。 実際の検品でも、Trust の設問のうち7問は業務画面の分母から外しています。「第三者の声」を求めても、社内の台帳画面には置きようがないからです。
代わりに効いてくるのが3つめです。数字の出どころと時点、そして画面の中で言葉が揃っているか。 ここからは、その3つめを中心に見ていきます。
自分の画面のTrustは、自分では判定できない
ここでの壁は、数字の意味を知っていることです。
「本日の撮影」がどの時点で集計されているか、作った人は知っています。「要是正」が何を母数にした数か、コードを書いたので分かります。分かっているので、書き足す必要を感じません。
見る人はそうではありません。数字だけを渡されて、それが何をいつ数えたものかを推測することになります。 推測が外れる可能性がある限り、その数字は判断に使えません。
そして Trust が崩れると、画面全体に効きます。 1つの数字が疑わしいと、隣の数字も確かめたくなる。Clarity(明瞭さ)の記事で書いた「画面が名乗る内容と中身が食い違うと、他の表示まで疑われる」と同じことが、数字でも起きます。
実例:AIが作った施工写真台帳のTrust
材料は前回までと同じ、デザインシステム 群青(GUNJO) で作られた画面です。群青を一度も見たことのないAIに、公開ドキュメントとnpmで配っている中身だけを渡して組ませた、建設業の施工写真台帳です。
6観点で検品した結果のうち、Trust は 3/5 でした。
| 観点 | スコア |
|---|---|
| Clarity(明瞭さ) | 2/5 |
| Flow(導線) | 3/5 |
| Action(行動) | 3/5 |
| Trust(信頼) | 3/5 |
| Friction(摩擦) | 3/5 |
| Feasibility(実装性) | 静止画では非採点 |
指摘はこうでした。
「本日の撮影 2」の基準日が分からない(9/12)
画面の上に並ぶ、4つの数字
この画面のいちばん上には、指標のカードが4枚並んでいます。
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上部に並ぶ4枚のカード。左から、総枚数、本日の撮影、要是正、台帳 選択中
数字はきちんと出ています。問題は、それぞれが何を数えたものかです。 真ん中の2枚を拡大します。
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拡大したところ。数字の下に添えられた文字を読んでください
「本日」なのに、日付が書いてある
左のカードは「本日の撮影」で、数字が 2、その下に「7/17」とあります。
ここで読む人は迷います。今日が7月17日なのでしょうか。それとも、7月17日に撮った分を数えたのでしょうか。 前者なら「本日」で足りるので日付は要りません。後者なら「本日」ではなく「7/17の撮影」です。
年も書かれていません。 施工写真は数年にわたって溜まるので、7/17がどの年かは判断に効きます。
12体のレビュアー(AIと人間がまざっています)のうち、9体がここを指摘しました。
1件と2件で、合計が合わない
右のカードは「要是正」で、数字が 1、その下に「是正済 2」。
全体は8枚です。要是正が1、是正済が2。合わせて3で、残りの5枚は何なのか書かれていません。
これは、たぶん数え方が違うだけです。「要是正」はいま対応が必要な枚数、「是正済」はこれまでに対応が終わった枚数。別々の母数を数えているなら、食い違いではありません。
しかし画面にはそう書かれていないので、読む人には食い違って見えます。 数字を合わせる必要はありません。何を数えたのかを書けば、それで済みます。
自分の画面で確かめる3つの手順
最初に挙げた Trust の3つを、自分の画面で確かめます。手順はその3つに1つずつ対応しています。
| 手順 | 確かめること |
|---|---|
| 手順1 | 出している数字に、出どころと時点があるか |
| 手順2 | 相手が不安になる箇所に、答えが置いてあるか |
| 手順3 | 同じものが、画面の中で同じ言葉になっているか |
道具は要りません。いま作っている画面を開いて、順に試してください。
手順1 数字を1つずつ指して、「いつの、何を数えた数か」と聞く
画面に出ている数字を全部書き出します。件数、金額、割合、日付、なんでもです。
そして1つずつ、「これはいつ時点の、何を数えた数か」と聞きます。答えが画面に書かれていないなら、そこが直し先です。
書き方はこうです。
- 時点:「7月17日 18:00時点」。「本日」「最新」だけでは、いつなのかが決まりません
- 母数:「未対応の写真 1枚(全8枚中)」。何のうちの数かを添えます
数字を消すのは最後の手段にしてください。 出どころが書けないから消す、をやると、判断に必要な情報まで消えます。まず書き足す方向で考えます。
手順2 相手が不安になる箇所を1つ挙げて、その場に答えを置く
その画面で、見る人がいちばん不安になる箇所を1つ挙げます。
- お金を扱う画面なら、金額が確定するタイミング
- 個人情報を入れる画面なら、それが何に使われるか
- 業務画面なら、この操作が他の人にどう見えるか(誰に共有されるのか、取り消せるのか)
挙げたら、その答えが、不安になる場所のすぐ近くにあるかを見ます。別ページの規約に書いてあっても、その場では読まれません(透明性・信頼と安全)。
社内の業務画面でこの手順が空振りすることはあります。空振りしたなら、それでかまいません。 手順1と3に進んでください。
手順3 同じものを指す言葉を数えて、1つに揃える
画面の中から、同じものを指しているのに違う言葉になっている箇所を探します。
- 画面の文字を上から読む
- 同じものを指す言葉が2つ以上あったら、書き出す
- 1つに決めて、全部それに揃える
施工写真台帳なら、「要是正」と「是正済」と、写真に付いている「検査」のラベル。近い意味の言葉が3つあります。 業務で使われている呼び方に寄せるのが基本です(わかる言葉で書く)。
見た目の揃え方も同じです。同じ種類の情報は、同じ大きさ・同じ形で出します(視覚的な一貫性)。
3つ通っても、Trustの入口です
ここまでは、道具なしで1人でできる範囲です。実際の検品では、Trust だけでもう少し細かく見ます。出来事の順序や前後関係が画面の中で矛盾していないか、といった設問もあります。
採点基準は全項目を公開しています。 6観点62項目で、Trust の設問もそのまま読めます。
Review Framework(6観点62項目)を見る — design-qa.com/framework(design-qa.com を新しいタブで開く)
Trustは、画面の種類で中身が変わる
4つめまで見てきて、Trust には他と違う性質があります。当てはまる設問が、画面の種類で大きく変わります。
Clarity から Action までの3つは、どんな画面でもほぼ同じことを聞けました。何の画面か。戻れるか。押した先が分かるか。
Trust は違います。申し込みの画面では「安心材料があるか」が主役ですが、社内の台帳画面では置きようがありません。 実際の検品で7問を業務画面の分母から外しているのは、そのためです。
だから Trust を見るときは、こう聞いてから始めます。
この画面を見る人は、何を疑うだろうか。
買う人が疑うのは、金額と条件です。業務で使う人が疑うのは、数字の出どころと時点です。疑う対象が違うので、置く答えも変わります。
疑われないことが目的ではありません。 疑ったときに、画面の中だけで確かめられる状態にしておくことが目的です。
実物を見る
判定の材料と、実際の画面はどちらも公開しています。
- 画面の原寸、AIに渡した条件、コールドテストの採点:gunjo.jp/cold-tests/175(gunjo.jp のコールドテストの記録を新しいタブで開く)
- 6観点すべての指摘と、判定に至る筋道の全文:AIが作った施工写真台帳を、出す前に検品した
- 1つめの観点:Clarity(明瞭さ)
- 2つめの観点:Flow(導線)
- 3つめの観点:Action(行動)
- 5つめの観点:Friction(摩擦)
- 6つめの観点:Feasibility(実装性)
この記事は、UIXHEROがAI(Claude)と協働で制作しています。検品の設計・判断・公開前の事実確認は人間が行い、実作業と下書き執筆はAIが担っています。
GunjoUI by UIXHERO