UIXHERO

UI検品の観点「Flow(導線)」とは — 自分の画面で迷わないかを確かめる3つの手順

Flowは、UI検品で使う6つの観点のうちの2つめです。前の画面からの流れがつながっているか、次の一歩が見つかるか、戻る・やり直すができるかを見ます。AIが作った1画面を材料に、Flowが何を見る観点なのかと、自分の画面で確かめる3つの手順をまとめます。

2026年8月12日
更新: 2026年8月27日
9
by Dengen Yosho(DGYS)

この記事の要点

  • Flow(導線)は、検品で使う6つの観点のうちの2つめです。前の画面からの流れ、次の一歩、戻る手段の3つがつながっているかを見ます
  • が1枚の画面の中を見るのに対し、Flowはその画面の前と後ろを見ます。順番があり、Clarityが通っていない画面のFlowは測れません
  • AIが作った1画面では、12体のレビュアー全員が「戻る・閉じる・取り消しが無い」を指摘しました。それでも総合判定は動きませんでした。その理由まで書きます

Flow(導線)とは何を見る観点か

UI検品では、1つの画面を6つの観点に分けて見ます。Clarity(明瞭さ)、Flow(導線)、Action(行動)、Trust(信頼)、(摩擦)、Feasibility(実装性)の6つです。

このうち Flow が見るのは、その画面が前後とつながっているかどうかです。確かめるのは3つ。

  1. 前の画面からの流れが、自然につながっているか
  2. 次の一歩への入口が、迷わず見つかるか
  3. 戻る・やり直す・離脱後の復帰が、いずれも成立しているか

1つめのClarity(明瞭さ)1枚の画面の中だけを見るのに対し、Flow はその画面に来る前と、出ていった後を見ます。

この2つには順番があります。 何の画面か分からなければ、そこからどこへ進むべきかも判断できません。Clarityが通っていない画面のFlowは測れないので、先にClarityを見ます。

自分の画面のFlowは、自分では判定できない

Clarityと同じ壁が、別の形で出てきます。作った人は、その画面に来る道筋を全部知っています。

どのボタンから来たか。次にどこへ行くのか。この一覧の何番目を選んで、いまパネルが開いているのか。作りながら何十回も通っているので、迷いようがありません。

一方、初めて開いた人が持っているのは、いま画面に見えているものだけです。どこから来たかも、何を選んだ結果いまこうなっているかも、画面が教えてくれなければ分かりません。

だから Flow でも、覚えていることを使わずに済む確かめ方に置き換えます。次の章で、実際の画面を見ながら説明します。

実例:AIが作った施工写真台帳のFlow

材料は前回と同じ、 群青(GUNJO) で作られた画面です。群青を一度も見たことのないAIに、公開ドキュメントとnpmで配っている中身だけを渡して組ませた、建設業の施工写真台帳。撮影日・工種・撮影場所でひもづけた写真を一覧し、絞り込み、検査の是正を記録し、報告書用に選ぶ画面です。

6観点で検品した結果のうち、Flow は 3/5 でした。

観点スコア
Clarity(明瞭さ)2/5
Flow(導線)3/5
Action(行動)3/5
Trust(信頼)3/5
Friction(摩擦)3/5
Feasibility(実装性)静止画では非採点

指摘は2つに集中しました。

戻る・閉じる・取り消しの導線が無く(12/12)、右パネルがどの選択の結果か分からない(10/12)

12体のレビュアー(AIと人間がまざっています)が、互いの指摘を見ない状態でそれぞれ独立に検分した結果です。 1つめは全員が、2つめは12体中10体が指摘しました。

何を選んだ結果、これが出ているのか

まず2つめから見ます。この画面には、写真の一覧と、右側に詳細のパネルがあります。

施工写真台帳の写真一覧と右の詳細パネル。パネルには雲海とリフトの写真が出ているが、一覧側のどれが選ばれているのかを示す印は無いタップして拡大表示 一覧と、右のパネル。パネルに出ている写真は、一覧の3枚目「基礎配筋 D19@200」と同じものです

右のパネルには、雲海とリフトの写真が出ています。同じ写真が一覧の3枚目にもあります。 つまりパネルは3枚目を選んだ結果なのですが、一覧側にはそれを示す印がありません。

枠も、色も、も、8枚とも同じです。見る人が「いま自分は3枚目を開いている」と分かる手がかりが、画面のどこにも無い状態です。

これは、作った人には見えません。3枚目を押したのは自分だからです。

戻る手段が、画面のどこにも無い

もう1つは、12体全員が指摘したものです。画面のいちばん上を見てください。

施工写真台帳のヘッダ。上段が左半分で「施工写真台帳 / 第二期 A棟新築工事・現場監督: 大山」、下段が右半分で「取り込み」「台帳を作成」の2つのボタン。戻る・閉じる・取り消しの手段は無いタップして拡大表示 ヘッダの全体です。横に長いので、左半分(上)と右半分(下)に分けて並べています

左に画面の名前、右に「取り込み」と「台帳を作成」。それだけです。

戻るボタンがありません。閉じるボタンもありません。絞り込みを掛けたあとに元へ戻す手段も、選んだ写真を選び直す手段も、画面上にはありません。

「ブラウザの戻るがあるのでは」と思われたかもしれません。ブラウザの戻るは、画面の中で起きた変化には効かないことがあります。 パネルを開いた、絞り込みを掛けた、入力を途中まで進めた。こうした状態はブラウザの履歴に残らないので、戻るを押すと画面ごと前のページへ飛んで、やりかけのことが消えます。

取り消したいのが「ページ」ではなく「いましたこと」なら、その手段は画面の中に要ります(ユーザーコントロールUndo Redo)。

自分の画面で確かめる3つの手順

最初に挙げた Flow の3つを、自分の画面で確かめます。手順はその3つに1つずつ対応しています。

手順確かめること
手順1前の画面からの流れが、つながっているか
手順2いま自分がどこにいるか、画面から分かるか
手順3戻る・やめる手段があるか

道具は要りません。いま作っている画面を開いて、順に試してください。

手順1 押してきた言葉と、いまの見出しを、並べて読む

その画面に来る1つ前の画面を開きます。そして2つ書き出します。

  • ここへ来るために押したボタンやリンクの文字
  • たどり着いた画面のいちばん上の見出し

この2つを並べて読みます。「写真を登録」を押して「メディアアップロード」に着いたなら、言葉が変わっています。 押した人は、自分が押したものと違う場所に来たのではないかと一瞬考えます。

同じ言葉にするのが基本です。変えるなら、変えた理由が画面から読めるようにします。

1つ前の画面が複数ある場合は、いちばん多く使われる経路で確かめてください。全部の経路で言葉を揃えるのは、たいてい無理です。

手順2 いま選んでいるものを、一覧の中から指させるか

一覧と詳細が同じ画面にある構造なら、ここを見ます。

  1. 一覧から1つ選ぶ
  2. 詳細が出た状態で、一覧側のどれを選んだのかを指差す
  3. 指差した先に、選ばれていることを示す印があるかを見る

印というのは、枠が変わる、背景が付く、色が変わる、といったものです。何も変わらないなら、それは作った人だけが知っている状態です。

施工写真台帳では、パネルに写真が出ているのに一覧側は8枚とも同じ見た目でした。押した本人以外には、どれが開いているのか分かりません(状態の可視化)。

一覧と詳細が別の画面に分かれている場合は、代わりに「詳細から一覧へ戻ったとき、さっき見ていた場所に戻るか」を見てください。先頭までスクロールが飛ぶなら、そこが直し先です。

手順3 やめる・戻る・取り消すを、画面の中から探す

最後に、その画面をやめたくなった人になったつもりで探します。

  • やめる手段はあるか(閉じる、キャンセル、一覧へ戻る)
  • 戻る手段はあるか(1つ前の状態へ)
  • 取り消す手段はあるか(さっきの操作をなかったことにする)

3つとも画面の中にあれば通過です。ブラウザの戻るは数えません。 上で書いたとおり、画面の中の変化には効かないことがあるからです。

見つからなかった場合、置き場所はナビゲーション設計にまとめてあります。要点は、やめる手段は目立たせなくてよいが、探せば見つかる場所に置くことです。主役を押しのける必要はありません。

3つ通っても、Flowの入口です

ここまでは、道具なしで1人でできる範囲です。実際の検品では、Flow だけでもう少し細かく見ます。いま全体のどのあたりにいるか分かるか、押せる場所と飾りが見分けられるか、進む入口が複数あるときどれがおすすめか分かるか、といった設問です。

採点基準は全項目を公開しています。 6観点62項目で、Flow の設問もそのまま読めます。

Review Framework(6観点62項目)を見る — design-qa.com/frameworkdesign-qa.com を新しいタブで開く

Flowは判定を変えない。でも、いちばん疲れるところに出る

ここが Clarity との違いです。

施工写真台帳では、12体全員が「戻る・閉じる・取り消しが無い」を指摘しました。 12体が独立に検分して全員が一致する指摘は、そう多くありません。それでも、総合判定は動きませんでした。

判定を決めたのは Clarity に立った Critical 1件のほうでした(前回の記事で書いたとおりです)。Flow の2件は、指摘としては全員一致でも、この画面の目的そのものを止めてはいなかったからです。

Flow の指摘は、判定をひっくり返しません。 その代わり、こう出ます。

  • 押し間違えたときに、やり直せない
  • いま何を選んでいるのか、毎回確かめ直す
  • 途中でやめられないので、最後まで進んでから閉じる

使っていて疲れるのは、たいていここです。 1回あたりは数秒でも、1日に何十回も通る業務画面では積み上がります。

そして、Clarity より直すのが安いという特徴もあります。戻るボタンを1つ置く。選ばれている行に背景を付ける。画面の設計をやり直さずに済むことが多いので、見つけたその日に直せます。

6観点のうち Flow を2番目に置いたのは、この位置にあるからです。判定は変えないが、いちばん頻繁に効く。

実物を見る

判定の材料と、実際の画面はどちらも公開しています。


この記事は、UIXHEROがAI(Claude)と協働で制作しています。検品の設計・判断・公開前の事実確認は人間が行い、実作業と下書き執筆はAIが担っています。

GunjoUI by UIXHERO

更新のお知らせ

サイトに載せていない実例や、新しい記事のお知らせはこちらで出しています。

読んだ内容を、自分の画面に当てるとき

UIXHEROは、記事を書くほかに、画面の検品・判定、デザインシステムの構築、実装と改善の伴走を受けています。何を頼めばいいか決まっていない段階の相談も、同じ窓口で受けます。

UIXHEROに頼めることを見る

※ 記事の内容についての質問や、書いてほしいテーマの要望も同じ窓口で受けています

関連する用語 (Glossary)

記事をシェア

メールでお知らせを受け取る

最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

あわせて読みたい

この記事に関連する記事をご紹介します

AIを「忖度しない検査役」にする方法論 — 手組みの跡は、足りないコンポーネントの地図

AIにUIを作らせるのではなく、AIに「何が作れなかったか」を書かせる方法論です。予備知識ゼロのAIの「無い」が強い証拠になる理由、手組みの跡を次に作るコンポーネントの仕様として読む手順、AIが正直に書ける環境の作り方をまとめます。

2026年8月18日
10

AIが作った画面で、実際に起きた29の失敗

自分たちがAIに作らせた業務画面175枚を検品し、実際に起きた失敗を29個並べました。すべて画面の番号つきです。動く画面が出てくることと、出してよいことは別です。各項目に、手元の画面で確かめるための目安を1行添えています。

2026年8月16日
42

UI検品の観点「Action(行動)」とは — 押す前に結果が分かるかを確かめる3つの手順

Actionは、UI検品で使う6つの観点のうちの3つめです。主な行動が1つに定まっているか、入力が最小限で済むか、押した結果が予測できるかを見ます。AIが作った1画面を材料に、Actionが何を見る観点なのかと、自分の画面で確かめる3つの手順をまとめます。

2026年8月12日
11

もっと深く知りたいですか?

ここに掲載されていないトピックについても、リクエストがあれば解説記事を追加します。 わかりにくい点や、具体的な事例について知りたいことがあれば教えてください。

リクエストを送る