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わかる言葉で書く (Plain Language)

専門用語・社内用語・曖昧な表現はユーザーを迷わせる。ユーザーが日常的に使う言葉でUIを書くことで、理解のコストをゼロに近づける設計原則。

2026年2月17日
更新: 2026年8月27日
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by Dengen Yosho(DGYS)
わかる言葉で書く (Plain Language)

「エラーコード:0x80070005」「操作を実行するには適切な権限が必要です」「リクエストを処理できませんでした」——これらのメッセージを見たユーザーは何をすればいいかわかりますか?

のテキストは、開発者やデザイナーが書きます。しかし読むのはユーザーです。この当たり前のことが、実務では驚くほど忘れられます。システムの内部用語がそのままボタンラベルになり、エラーメッセージはエンジニアのデバッグ用文言がそのまま表示され、ヘルプテキストは法務部が書いた難解な文章になる——これがUIのテキストが「わからない」状態です。

よくある失敗は「正確に書こうとして難しくなる」ことです。正確さと平易さは両立できます。「認証情報が無効です」より「メールアドレスかパスワードが間違っています」の方が、正確で、かつわかりやすい。

1. 原則の定義

UIのすべてのテキスト(ラベル・エラー・ヘルプ・ボタン)を、ターゲットユーザーが日常的に使う言葉で書き、理解のための認知コストをゼロに近づける設計。

本質は「書き手の言葉ではなく、読み手の言葉で書くこと」です。専門用語・社内用語・システム用語は、書き手にとっては正確で的ですが、ユーザーにとっては「翻訳が必要な外国語」です。この翻訳コストが認知負荷となり、ユーザーのタスク完了を妨げます。

2. いつ使うか(適用場面)

特に重要になるケース

  • エラーメッセージ: ユーザーが最も混乱しているタイミング。「何が起きたか」「なぜ起きたか」「どうすれば解決できるか」を平易な言葉で伝える必要がある。
  • ボタン・CTA: 「送信」「実行」「OK」などの汎用ラベルは、ユーザーに「押したら何が起きるか」を想像させる認知コストを生む。「アカウントを作成する」「無料で始める」など、動作と結果が明確なラベルにする。
  • オンボーディング・空状態: 初めて使うユーザーへの説明。専門用語が1つでも入ると、その時点で理解が止まる。
  • フォームのラベル・ヘルプテキスト: 「氏名(フリガナ)」「半角英数字8〜16文字」など、入力規則の説明。ユーザーの言葉で書かないと入力ミスが増える。

トレードオフが起きる場面

  • 専門家向けプロダクト: 医師・弁護士・エンジニア向けのツールでは、専門用語を使う方が正確で効率的な場合がある。の語彙レベルに合わせる。
  • 法的・規約テキスト: 法的な正確性が求められる文章は、平易さより正確さを優先せざるを得ない場合がある。ただし「要約」を平易な言葉で添えることは可能。

3. なぜ重要か(設計判断の核)

UIのテキストは「情報を伝える」のではなく、「ユーザーを次の行動へ導く」ために存在する。

設計判断の基準

  • 「このテキストを読んだユーザーは、次に何をすべきかが即座にわかるか?」→ Noなら書き直す。
  • 「このテキストに、ユーザーが日常生活で使わない言葉が含まれているか?」→ Yesなら平易な言葉に置き換える。

優先順位の考え方

  • 1. 明確さ(最優先): 短くても意味が伝わること。「送信」より「メッセージを送る」。
  • 2. 行動の明示: ボタンは「動詞+目的語」で書く。「OK」ではなく「削除する」「保存する」。
  • 3. 共感のトーン: エラー時は責める言葉を避け、解決策を示す。「無効な入力です」ではなく「メールアドレスの形式を確認してください」。

例外条件

  • アイコンのみのボタン(ハンバーガー、検索アイコンなど)は、広く普及したパターンであれば言葉がなくても伝わる。ただし初回利用時はツールチップやラベルを表示する。

4. 具体の設計ルール(チェックリスト)

最低ライン(Must - これ守らないと危険)

これがないと、ユーザーはUIの意味を理解できません。

理想ライン(Better - できると強い/プロの品質)

テキストが「ガイド」として機能している状態です。

5. UI例

同じでも、テキストの書き方でユーザーの感じる「わかりやすさ」と「次の行動への明確さ」が大きく変わります。

改善プロセス

  1. ユーザーテスト(5秒ルール): テキストを5秒見せて「次に何をすればいいか」を答えてもらう。答えられなければ書き直す。
  2. 専門用語リストの作成: UIに使われている専門用語・社内用語を洗い出し、ユーザーの言葉への置き換え辞書を作る。
  3. 声に出して読む: 書いたテキストを声に出して読む。不自然に感じる箇所は、ユーザーにとっても不自然。

6. 関連リンク

7. まとめ

今日から直せる一手 今担当しているUIのエラーメッセージを1つ開いてください。「何が問題か」「どうすれば解決できるか」がユーザーの言葉で書かれているか確認し、技術的な文言が含まれていたら平易な言葉に書き直しましょう。

チームに共有するなら一言 「UIのテキストは、書き手の言葉ではなく、読み手の言葉で書く。ユーザーに翻訳させるコストは、すべて離脱リスクになる。」

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最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

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