「ユーザーは満足しているはず」——この思い込みが、サイレント解約を見逃す原因になる。
NPSは「推奨するか」を聞く。だがユーザーは、特定の機能やサポート対応に不満を持っていても、全体としては推奨するかもしれない。逆に、特定の体験に感動しても、他社を推奨するかもしれない。
NPSだけでは見えない「特定の体験への満足度」を測る——それがCSATの役割だ。
1. 手法の定義
特定の体験・タッチポイント・機能に対する満足度を、1問の質問で測定する定量指標。
NPSが「全体的なロイヤルティ」を測るのに対し、CSATは「個別の体験への評価」を測る。購入完了後、サポート対応後、機能利用後など、特定のタイミングで聞くことで、改善すべきポイントを特定できる。
2. いつ使うか
適している場面
- サポート対応後: 問い合わせ解決後に満足度を確認
- 購入・契約完了後: 申し込みプロセスの評価
- 機能利用後: 特定機能の使いやすさを測定
- オンボーディング完了後: 初期体験の品質確認
向いていない場面
- 全体的なロイヤルティを測りたい → NPS
- 長期的な関係性を評価したい → NPS
- 操作性の問題を発見したい → ユーザビリティテスト
- 「なぜ」を知りたい → インタビュー
3. 設計判断の核
CSATは「点」、NPSは「線」——測定対象が違う。
CSATは特定の体験への即時評価。NPSは企業やプロダクト全体への長期的な態度。
よくある誤解 「CSATが高ければロイヤルティも高い」
実際 個別の体験に満足していても、競合に乗り換えることはある。CSATとNPSは補完関係にあり、両方を見ることで全体像が見える。
4. 調査タイプ
| 軸 | 内容 |
|---|---|
| データ | 定量 |
| 対象 | 態度(評価・満足度) |
| サンプル | 100人以上が望ましい(比較や傾向判断の安定性のため) |
| 実施フェーズ | Deliver(継続的な品質モニタリング) |
指標のポジション
全体評価
↑
NPS(推奨意向)
↑
CSAT(特定体験の満足度)
→ 体験の粒度
CSATはNPSより粒度が細かく、特定のタッチポイントを評価する。CSATは特定の接点への満足度を測る指標であり、SUSのようにシステム全体の使いやすさを評価するものではない。
5. 実施プロセス
1. 測定ポイントの決定
どのタッチポイントで聞くか
- 購入完了後
- サポート対応後
- 機能初回利用後
- 契約更新時
2. 質問設計
標準的な質問 「この[体験/サービス/機能]にどの程度満足しましたか?」
スケール
- 5段階(1: 非常に不満 〜 5: 非常に満足)
- 7段階(より細かい分析が必要な場合)
3. 配信設計
- タイミング: 体験直後(記憶が新鮮なうちに)
- チャネル: アプリ内、メール、チャット後のポップアップ
- 頻度: 過剰な配信はユーザー体験を損なう
4. スコア算出
CSAT = (満足回答数 ÷ 総回答数) × 100
満足回答: 5段階なら4-5、7段階なら5-7
5. 分析・改善
- スコアの推移を追跡
- タッチポイント別に比較
- 低スコア回答者にフォローアップ(任意のフリーコメント)
6. 実務チェックリスト
最低ライン(Must - これがないと失敗)
理想ライン(Better - プロの品質)
7. 関連リンク
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まとめ
CSATは特定の体験への満足度を即座に測定する指標である。NPSが全体的なロイヤルティを測るのに対し、CSATは「どのタッチポイントに問題があるか」を特定する。購入後、サポート後、機能利用後——各接点でCSATを測り、低スコアのポイントを改善する。NPSと併用することで、全体像と個別課題の両方が見える。