UIXHERO

ベンチマーク調査

競合製品や業界標準と自社製品を比較し、強み・弱み・改善機会を特定する調査手法。

2026年3月21日
更新: 2026年8月27日
4
by Dengen Yosho(DGYS)

「うちの製品は使いやすい」——何と比べて?

「使いやすい」「わかりやすい」という評価は相対的だ。競合より良ければ選ばれる。競合より悪ければ離脱される。自社だけを見ていても、市場での立ち位置はわからない。

ベンチマーク調査は競合や業界標準と比較する。どこが強みで、どこが弱みか。改善すべき優先順位は何か。相対評価によって、本当の課題が見える。


1. 手法の定義

競合製品や業界標準・過去の自社製品と比較し、ユーザビリティや体験の強み・弱みを特定する調査手法。

同じタスクを複数の製品で実施し、完了率・時間・満足度などを比較する。自社の相対的な位置を把握し、改善の優先順位を決める。


2. いつ使うか

適している場面

  • 競合との差別化: どこで勝っているか、負けているか
  • 改善の優先順位付け: どこを改善すればインパクトが大きいか
  • 目標設定: 「競合を○%上回る」という具体的目標
  • リニューアル前後の比較: 改善効果の測定

向いていない場面

  • 「なぜ」を深く理解したい → インタビュー
  • 新しいコンセプトの検証 → コンセプトテスト
  • ユニークな機能の評価 → 比較対象がない

3. 設計判断の核

ベンチマークは「どこが」ではなく「どれくらい」を示す。

「ここが問題」という発見はでもできる。ベンチマークの価値は「競合より○%遅い」「業界平均の○倍」という定量比較にある。

よくある誤解 「全項目で競合に勝たなければならない」

実際 すべてで勝つ必要はない。コア体験で勝っていれば選ばれる。どこに注力すべきかを判断するのがベンチマークの目的。


4. 調査タイプ

内容
データ定量(タスク時間、完了率、スコア)
対象行動 + 態度(行動=完了率・時間・エラー、態度=・NPS・CSAT)
サンプル条件ごとに20人以上(比較条件ごとにサンプルが不足すると、差が偶然か本当か判断しにくい)
実施フェーズDefine / Deliver(現状把握、効果測定)

手法のポジション

比較の軸
↑
業界ベンチマーク(標準との比較)
↑
競合ベンチマーク(競合との比較)
↑
自社ベンチマーク(過去との比較)
→ 入手難易度

自社の過去データは入手しやすいが、競合データは調査が必要。


5. 実施プロセス

1. 比較対象の選定

競合ベンチマーク

  • 直接競合(同カテゴリの製品)
  • 間接競合(代替手段)

業界ベンチマーク

  • 公開されている値(SUS平均、業界平均タスク時間等)

自社ベンチマーク

  • 過去バージョン
  • リニューアル前

2. 指標の決定

代表的な指標

  • タスク完了率
  • タスク完了時間
  • エラー数
  • SUS(System Usability Scale)
  • CSAT

3. タスクの設計

  • 主要なを選定
  • 全製品で実施可能なタスクに
  • 難易度を統一

4. テスト実施

  • 参加者を条件に割り当て(製品A、B、C等)
  • 同じタスクを実施
  • 指標を測定

5. 分析・比較

  • 製品間の統計比較
  • の検定
  • 強み・弱みの特定
  • 改善優先順位の決定

6. 実務チェックリスト

最低ライン(Must - これがないと失敗)

理想ライン(Better - プロの品質)


7. 関連リンク

関連するUXリサーチ手法

関連するUX心理

関連する用語


まとめ

ベンチマーク調査は競合や業界標準と自社製品を比較する手法である。「使いやすい」という評価は相対的——競合より良ければ選ばれ、悪ければ離脱される。タスク完了率、時間、SUS、NPSなどの指標で定量比較し、強み・弱みを特定する。すべてで勝つ必要はない。コア体験で勝つために、どこに注力すべきかを判断する——それがベンチマークの価値だ。

更新のお知らせ

サイトに載せていない実例や、新しい記事のお知らせはこちらで出しています。

読んだ内容を、自分の画面に当てるとき

UIXHEROは、記事を書くほかに、画面の検品・判定、デザインシステムの構築、実装と改善の伴走を受けています。何を頼めばいいか決まっていない段階の相談も、同じ窓口で受けます。

UIXHEROに頼めることを見る

※ 記事の内容についての質問や、書いてほしいテーマの要望も同じ窓口で受けています

記事をシェア

メールでお知らせを受け取る

最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

あわせて読みたい

この記事に関連する記事をご紹介します

コンセプトテストとは?進め方と実務チェックリスト

コンセプトテストとは、新しい製品や機能のコンセプトをユーザーに提示し、受け入れられるか・正しく理解されるか・ユーザーが何を期待するかを確かめる初期段階の調査手法です。使いどきの見極め方、実施の5ステップ、実務チェックリストまでを解説します。

2026年3月21日
11

エビデンスベースデザイン (Evidence-Based Design)

「デザイナーの直感」ではなく「研究・データ・実証された知見」に基づいてデザインを決定するアプローチ。医療分野の「エビデンスベース医療(EBM)」の概念をデザインに応用したもの。

2026年2月23日
7

認知的ウォークスルー

初めて使うユーザーの視点で、タスク完了までの各ステップを検証するユーザビリティ評価手法。

2026年3月21日
5

もっと深く知りたいですか?

ここに掲載されていないトピックについても、リクエストがあれば解説記事を追加します。 わかりにくい点や、具体的な事例について知りたいことがあれば教えてください。

リクエストを送る