調査設計
この技術でできること
- 「何のためにインタビューするか」を明確な問いに変換できる
- インタビュー全体のスコープと計画を設計できる
- 終了後に「で、何がわかったの?」と言われない成果定義ができる
例: 「ユーザーの声を聞きたい」ではインタビューは始められない。「ECアプリのカート離脱の原因を、過去3ヶ月以内の購入者5名へのインタビューで特定する」まで落とすのが調査設計
なぜ難しいか
インタビューは「聞けば何かわかる」という誤解が根強い。
準備なしに始めると、聞きたいことが散らかり、分析できないデータが山積みになる。調査設計の本質は「何を明らかにしないか」を決めること。スコープを絞ることで、限られた時間で深い理解に到達できる。
調査設計の進め方
全体フロー
「目的の明確化」→「リサーチクエスチョンの設定」→「対象者の定義」→「実施計画の立案」。設計は必ず目的から逆算する。
ステップ1: 目的を明確にする
目的: なぜインタビューが必要かを、1文で説明できる状態にする
やること:
| 問い | 例 |
|---|---|
| 何を知りたいか | カート離脱の原因 |
| なぜ知りたいか | コンバージョン率改善のため |
| 知った後どうするか | UI改善案を3つ提案する |
良い目的:
- 「ECアプリのカート離脱原因を理解し、改善施策を提案する」
悪い目的:
- 「ユーザーの声を聞く」(何を知りたいか不明)
- 「サービスを改善する」(広すぎ)
- 「検索機能が使いにくいことを確認する」(結論が先にある)
ステップ2: リサーチクエスチョンを設定する
目的: 目的をインタビューで答えられる問いに変換する
→ 詳細はリサーチクエスチョン設計
ここでのポイント:
- リサーチクエスチョンは3〜5個に絞る
- 1回のインタビューで答えられる粒度にする
- 「はい/いいえ」で答えられない問いにする
ステップ3: 対象者を定義する
目的: 誰に聞けばリサーチクエスチョンに答えられるかを決める
→ 詳細はリクルーティング
ここでのポイント:
- 行動ベースで定義する(「使いたい人」ではなく「使った人」)
- セグメントを1つに絞る
- 5〜8人を目安にする(同一セグメントで傾向が繰り返されるかを確認するための目安)
ステップ4: 実施計画を立てる
目的: いつ・どこで・どうやってインタビューするかを決める
やること:
| 項目 | 決めること |
|---|---|
| 形式 | 対面 / リモート / 電話 |
| 時間 | 30分 / 45分 / 60分 |
| 場所 | オフィス / ユーザーの自宅 / オンライン |
| 人数 | 5〜8人(1セグメント) |
| 期間 | 1〜2週間(リクルーティング含む) |
| 記録 | 録音 / 録画 / メモ |
| 分析 | コーディング / 親和図法 |
| 成果物 | インサイトレポート / 施策提案書 |
テンプレート:
【調査設計書】
■ 目的
[1文で]
■ リサーチクエスチョン
1. [RQ1]
2. [RQ2]
3. [RQ3]
■ 対象者
- 条件: [行動ベースの条件]
- 人数: [X人]
- 除外: [除外条件]
■ 実施計画
- 形式: [対面/リモート]
- 時間: [XX分]
- 期間: [開始日〜終了日]
- ツール: [Zoom/対面]
■ 成果物
- [インサイトレポート/施策提案書]
- 報告日: [日付]
よくある失敗
❌ スコープが広すぎる
「ユーザー体験全般について聞く」と設計する。
なぜ失敗するか: 何でも聞けるが、何も深く聞けない。分析時に「で、結論は?」となる。
対策:
- リサーチクエスチョンを3つ以内に絞る
- 「今回は〇〇だけに集中する」と宣言する
- 聞かないことリストを作る
❌ 「知った後どうするか」を決めていない
インタビュー結果をどう使うかが決まっていない。
なぜ失敗するか: データは集まるが、施策に変換するプロセスがない。報告書が「面白かったです」で終わる。
対策:
- 調査設計時に「このインタビューの結果、何を決めるか」を書く
- 関係者にも「この調査で何が決まるか」を合意する
実践チェックリスト
最低ライン(Must)
理想ライン(Better)
関連技術
前提となる技術
- インタビュアーマインド — 設計の前提となる姿勢
セットで使う技術
- リサーチクエスチョン設計 — 設計の核心
- リクルーティング — 対象者の設計
- インタビュー形式 — 形式の選択
次に学ぶ技術
- リサーチクエスチョン設計 — 調査設計の次のステップ
まとめ
- この技術の本質: 「何を明らかにするか」だけでなく「何を明らかにしないか」を決める技術
- できるようになること: 終了後に「で、何がわかったの?」と言われない設計ができる
- 次に学ぶべき技術: リサーチクエスチョン設計(調査設計の核心)