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倫理・同意|インタビュー技術

インタビュー参加者の権利を守るための倫理的配慮と同意取得の技法。

2026年3月22日
更新: 2026年8月27日
5
by Dengen Yosho(DGYS)

倫理・同意

この技術でできること

  • 参加者の権利を守りながらインタビューを実施できる
  • 同意書を正しく設計・取得できる
  • 組織としての運用・法務リスクを抑えられる

: 録音を取らせてもらったのに、その後のデータの使い方を説明していなければ、参加者の信頼を裏切ることになる。倫理とは「当たり前のことを確実にやる」技術


なぜ難しいか

倫理的配慮を「面倒な手続き」と捉えると、形だけの同意になる。

同意書にサインをもらうこと自体はゴールではない。参加者が何に同意しているかを本当に理解している状態を作ることがゴール。しかし実務では時間に追われ、形式的な説明で済ませてしまいがちになる。


倫理設計の進め方

全体フロー

「同意書の設計」→「事前説明」→「インタビュー中の配慮」→「データの管理」。同意は1回で終わるものではなく、調査全体を通じて維持する。


ステップ1: 同意書を設計する

目的: 参加者に伝えるべき情報を漏れなく記載する

必須記載事項:

項目内容
調査目的何のための調査か
所要時間どれくらい時間がかかるか
記録方法録音・録画の有無
データの利用範囲誰がどう使うか
個人情報の扱い匿名化の方法、保管期間
辞退の権利いつでもやめられること
質問への拒否権答えたくない質問は飛ばせること
謝礼辞退しても支払われること
連絡先後日の問い合わせ先

同意書テンプレート:

【インタビュー調査 同意書】

■ 調査目的
本調査は、〇〇の改善を目的としたユーザー調査です。

■ 所要時間
約 XX 分を予定しています。

■ 記録
録音 [させていただきます / いたしません]
録画 [させていただきます / いたしません]

■ データの取り扱い
・発言内容は社内の改善検討にのみ使用します
・個人が特定される形では公開しません
・データは調査完了後 XX ヶ月で削除します

■ 参加者の権利
・理由なく、いつでも調査を中止できます
・答えたくない質問は飛ばすことができます
・中止した場合でも、謝礼は全額お支払いします

■ 連絡先
ご質問・ご不明点: [メールアドレス]

署名: ________________
日付: ________________

ステップ2: 事前に説明する

目的: 同意書の内容を口頭でも伝え、理解を確認する

やること:

  • 書面を渡すだけでなく、要点を口頭で説明する
  • 「質問はありますか?」と確認する
  • 録音開始前に、口頭でも同意を確認する

説明例:

「今日は録音させていただきますが、社外には出しません。お名前は匿名で処理します。答えたくない質問は遠慮なく飛ばしてください。途中でやめたくなったら、いつでもおっしゃってください。」


ステップ3: インタビュー中に配慮する

目的: 同意を取った後も、参加者の権利を守り続ける

やること:

  • 答えにくそうな場合は「この質問は飛ばしましょうか」と声がけ
  • 表情やトーンの変化に注意する
  • センシティブな話題(収入、健康、家庭など)は特に慎重に
  • 「お話しいただいた内容は、〇〇の改善にのみ活用します」と途中で再確認

やってはいけないこと:

  • ❌ 参加者が嫌がっているのに深掘りを続ける
  • ❌ 個人的な質問を事前告知なしに聞く
  • ❌ 録音・録画を告知なしに行う

ステップ4: データを管理する

目的: 約束通りにデータを扱う

やること:

  • 録音・録画データは暗号化して保管
  • 分析後の発話録は匿名化(名前・地名・会社名を伏せる)
  • 約束した保管期間後に削除
  • 社外共有が必要な場合は再度同意を取る

よくある失敗

❌ 同意書を読み上げるだけ

書面を渡して「読んでおいてください」で終わる。

なぜ失敗するか: 参加者は署名した内容を理解していない。後からトラブルになるリスク。

対策:

  • 要点3つを口頭で説明する(目的・記録・辞退の権利)
  • 質問があるか確認する
  • 書面と口頭の両方で同意をもらう

❌ センシティブな質問を事前告知なしに聞く

収入や健康状態を突然聞く。

なぜ失敗するか: 参加者が不快に感じ、その後の回答の質が下がる。信頼が崩れる。

対策:

  • センシティブな質問がある場合は事前にする
  • 「この後、少し個人的な質問をしますが、答えたくなければ飛ばせます」
  • 質問の前に理由を説明する

実践チェックリスト

最低ライン(Must)

理想ライン(Better)


関連技術

前提となる技術

セットで使う技術

次に学ぶ技術


まとめ

  • この技術の本質: 参加者の権利を守ることは義務であり、同時にデータの質を担保する行為
  • できるようになること: 参加者が安心して本音を話せる環境を作れる
  • 次に学ぶべき技術: ラポール形成(倫理的配慮の上に信頼を築く)

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最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

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