この技術でできること
- 技術を正しく機能させる 土台の姿勢 を身につけられる
- 「聞きたいことを聞く」から「 相手の世界を理解する 」に切り替えられる
- インタビュー中の 判断を保留 し、データの質を上げられる
例 : 質問設計や深掘りの技術があっても、「自分の仮説を確認したい」というマインドで聞けば、ユーザーの本音は出てこない。技術の前に姿勢がある
なぜ難しいか
人は無意識に 自分のフレームで相手を理解しようとする 。
「この人はこういう人だろう」「きっとこう思っているはず」という前提が、質問の選び方・深掘りの方向・反応の仕方すべてに影響する。この無意識のフレームを一旦外すのが、インタビュアーマインドの核心。知識ではなく 意識的な練習 で身につける。
インタビュアーマインドの5原則
原則1: 好奇心を持つ
本質 : 「正解を知っている」ではなく「何も知らない」から始める
相手の話に本気で興味を持つ。「どうせこう答えるだろう」と予測した瞬間、傾聴が止まる。
実践 :
- 「なんで?」ではなく「へぇ、それはどういうこと?」
- 自分が予想していなかった答えこそ、深掘りのチャンス
- 「驚いた」と感じたら、そこがインサイトの入口
チェック : インタビュー中に「予想通り」と感じることが多いなら、好奇心が足りていないサイン
原則2: 判断を保留する
本質 : 「良い・悪い」「正しい・間違い」を一旦横に置く
ユーザーの発話に対して、すぐに自分の中で評価しない。「それは間違っている」と思った瞬間、中立な質問ができなくなる。
実践 :
- 「それは面白いですね」は判断。「もう少し教えてください」は傾聴
- ユーザーの行動が非効率でも、「なぜそうするのか」に集中する
- メモには事実だけを書く。自分の感想は別欄に書く
チェック : メモが「〇〇すべき」「〇〇が問題」ばかりなら、判断が先行している
原則3: 沈黙に耐える
本質 : 黙ることは「何もしていない」のではなく「考える時間を与えている」
沈黙が3秒続くと、多くのインタビュアーは次の質問を被せる。しかしユーザーにとってのその3秒は、「本音を言おうかどうか迷っている」時間かもしれない。
実践 :
- 3〜5秒は必ず待つ
- 沈黙の間、うなずいて「聞いている」を示す
- 「急がない」と自分に言い聞かせる
チェック : 録音を聞き返して、沈黙をどれくらい待てているか確認する
→ 詳細は沈黙の技術
原則4: 自分を消す
本質 : 主役はユーザー。インタビュアーは「透明な存在」を目指す
自分の経験、意見、感想を話すほど、ユーザーの時間が奪われる。「私もそうでした」は共感に見えるが、実際には主役の交代。
実践 :
- 「私も」と言いそうになったら「〇〇さんは」に変える
- 自分の話は一言で切る(相手の話を取り戻すため)
- 自分の意見を聞かれたら「いろんな方がいらっしゃいます」と返す
チェック : インタビューの発話量が自分よりユーザーの方が多いか確認する
原則5: 仮説を手放す覚悟を持つ
本質 : 仮説が外れた時こそ、最大の発見がある
仮説を持つこと自体は良い。しかし仮説に固執すると、それを裏づけるデータだけを集めてしまう。「仮説が外れたら嬉しい」というマインドを持つ。
実践 :
- 仮説を紙に書き出してからインタビューに臨む(自覚する)
- 「仮説に反する答えが出たら、深掘りのチャンス」と決める
- 分析時に「仮説に反するデータ」を意図的に探す
チェック : 分析結果が仮説通りだった場合、確証バイアスを疑う
→ 詳細はバイアス制御
よくある失敗
❌ 「共感」と「同意」を混同する
「わかります!」と言いすぎてユーザーが「共感されやすい話」だけを選び始める。
なぜ失敗するか : 共感は「あなたの気持ちを理解している」。同意は「あなたの意見に賛成している」。インタビュアーが必要なのは共感であり、同意ではない。
対策 :
- 「わかります」より「そう感じたんですね」
- ユーザーの感情を否定も肯定もしない
- 中立的な表情とトーンを練習する
❌ 「良いインタビューをしよう」と力む
完璧な質問をしよう、全部の技術を使おう、と意気込みすぎる。
なぜ失敗するか : 意識が自分(のパフォーマンス)に向いている。傾聴が内的傾聴(レベル1)に留まる。
対策 :
- 「良いインタビューをする」ではなく「この人の話を聴く」にフォーカス
- 技術は意識しすぎると不自然になる。自然にできるようになるまで練習
- 最初は「3つだけ意識する」と決める
実践チェックリスト
最低ライン(Must)
理想ライン(Better)
関連技術
前提となる技術
- インタビュー形式 — 形式を理解した上でのマインドセット
セットで使う技術
次に学ぶ技術
- 調査設計 — マインドセットを持って設計に入る
まとめ
- この技術の本質 : 技術の「前提」としての姿勢。好奇心・判断保留・沈黙耐性・自分を消す・仮説を手放す
- できるようになること : 技術が正しく機能する土台をつくれる
- 次に学ぶべき技術 : 調査設計(マインドセットを持って設計に入る)
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