#297
心理学・認知バイアス
#297ゆうどうしつもん
誘導質問 (Leading Question)
別名・表記:Leading Question誘導尋問
UIXHERO Definition
「答えを聞かせる質問」。質問文の中に特定の前提や価値判断が含まれ、回答者をある方向へ誘導してしまう質問形式。
概要
質問文の中に、質問者の意図や前提が含まれており、回答者が特定の方向に誘導されてしまうこと。 マーケティングリサーチや世論調査において、意図的に特定の結果を導き出すために悪用されることもある(プッシュポール)。認知心理学では、質問のフレーミング(Framing)や前提効果(Presupposition Effect)が回答に影響を与えることが知られている。 ロフタスの研究では、質問の表現が記憶内容そのものを変化させる可能性が示されている。
UXでの活用 / 対策
- オープンエンドな質問: 「はい/いいえ」で答えられるクローズドな質問ではなく、「どのように」「何を」といったオープンな質問(5W1H)を使う。
- 形容詞の排除: 「使いやすいですか?」「分かりやすいですか?」といった形容詞を含めず、「操作感を教えてください」のように名詞で聞く。
- バランスの取れた選択肢: 「非常に良い」「良い」だけでなく、「悪い」「非常に悪い」も同等に配置する。
質問設計の原則:
- 価値判断を含む形容詞を避ける
- 前提を含む言い回しを排除する
- 肯定・否定の両方向を対称に設計する
💡 使いどころ
法律・尋問の場面では戦術的に用いられることがあるが、ユーザーリサーチや学術調査では基本的に避けるべき手法である。ユーザーリサーチでは基本的にタブーだが、コンセプト検証の後半で「もしこの機能があれば買いますか?」と具体的に聞く場合など、意図的に使うこともある。
⚠️ 注意点・誤用
無意識のうちに使ってしまうことが多い。質問を作成したら、第三者にチェックしてもらい、中立性が保たれているかを確認する。
具体例
- ×「この画面のデザインは素晴らしいと思いませんか?」(同意を誘導)
- ◯「この画面のデザインについてどう思いますか?」
- ×「使いにくい点はどこでしたか?」(使いにくいことを前提)
- ◯「使ってみて、気づいた点はありますか?」
出典・参考文献:
- Loftus, E. F., & Palmer, J. C. (1974). Reconstruction of automobile destruction: An example of the interaction between language and memory. Journal of Verbal Learning and Verbal Behavior, 13(5), 585–589.
- Schwarz, N. (1999). Self-reports: How the questions shape the answers. American Psychologist, 54(2), 93–105.
- Tourangeau, R., Rips, L. J., & Rasinski, K. (2000). The Psychology of Survey Response. Cambridge University Press.
- Podsakoff, P. M., MacKenzie, S. B., Lee, J. Y., & Podsakoff, N. P. (2003). Common method biases in behavioral research. Journal of Applied Psychology, 88(5), 879–903.