#139
心理学・認知バイアス
#139じぞくじかんのむし
持続時間の無視
別名・表記:Duration Neglect
UIXHERO Definition
「持続時間の無視」。UIXHEROでは、Duration Neglectを「体験全体を短くするより、記憶に残る終わりを設計するための判断軸」として捉える。過去の体験を評価する際、その出来事が「どれくらいの時間続いたか」の持続時間は評価に与える影響が相対的に小さくなりやすく、ピーク時と終了時の感情(ピーク・エンドの法則)によって印象が決まるという心理バイアス。
概要
ダニエル・カーネマンの「痛み・不快体験」の評価研究などで知られる。例えば、不快な検査が長く続いても、最後が楽であれば「良い検査だった」と記憶される。
UXでの活用
- 待ち時間: ロード時間が長くても、最後に楽しいアニメーションやお礼のメッセージがあれば、待ち時間の不快感の印象が相対的に和らぎやすい。
- プロセスの改善: 手続き全体の長さ(所要時間)を短くする努力よりも、プロセスの最後(エンド)を最高の体験にすることに注力する方が、ユーザー満足度は上がりやすい。
💡 使いどころ
待ち時間が避けられないサービスや、プロセスの長い手続きを設計する際。時間の短縮よりも、体験の「質(ピークとエンド)」を高めることにリソースを割くべき判断根拠として使う。
⚠️ 注意点・誤用
時間が重要ではないという意味ではない。あまりに長すぎる待ち時間は当然離脱に繋がるが、短縮にかかるコスト対効果(ROI)を考える際にこの法則を考慮する。
具体例
- ディズニーランドの行列(待ち時間は長いが、アトラクションの楽しさと最後の満足感で『また行きたい』と思わせる)
- 手術や検査の痛み(時間は長くても、痛みのピークが低く、終わりが楽だと評価が高くなる)
出典・参考文献:
- Kahneman & Fredrickson (1993)When More Pain Is Preferred to Less
- Kahneman, D. (2011).Thinking, Fast and Slow.Farrar, Straus and Giroux.