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カードソート完全ガイド|ユーザーの頭の中を可視化する情報設計手法

カードソートとは、ユーザーに情報をグループ分けしてもらい、自然な分類構造を探る調査手法。オープン・クローズドの使い分けから、分析方法まで解説。

2026年3月17日
7
by Dengen Yosho(DGYS)

「この構造、ユーザーにはわかりにくいらしい」——でも、どう直せばいいのかわからない。

開発者が「技術的に似ている」と思う機能同士が、ユーザーにとっては「全然違う」と分類されることは珍しくありません。ユーザーの頭の中の「引き出し」を知らずに作ったナビゲーションは、必ず迷子を生みます。

この記事でわかること

  • カードソートの定義と2つの種類(オープン・クローズド)
  • 実施手順とカードの設計方法
  • 結果の分析方法(類似度マトリクス・デンドログラム)
  • ナビゲーション設計への接続

1. カードソートとは(定義)

カードソート()とは、情報(コンテンツ)が書かれたカードをユーザーにグループ分けしてもらい、ユーザーにとって自然な分類や構造を探る定性調査手法です。

サイトのカテゴリ分けやナビゲーション構造を「設計者の論理」ではなく「ユーザーの認知」に基づいて設計するために行います。


2. 2つの種類(オープン vs クローズド)

種類説明適用場面
オープン・カードソートユーザーが自由にグループを作り、自由にグループ名を付ける新規サイト設計、既存構造の見直し
クローズド・カードソートあらかじめ決められたカテゴリにカードを振り分ける既存カテゴリの、リニューアル前の確認

オープン・カードソートの特徴

  • 発見志向: ユーザーの分類基準そのものを発見できる
  • 結果がバラバラになりやすい: 分類基準(機能別・目的別・対象者別など)が人によって異なる
  • ラベルの発見: ユーザーが付けたグループ名は、そのままメニュー名の候補になる

クローズド・カードソートの特徴

  • 検証志向: 設計者が考えたカテゴリが妥当か確認できる
  • 結果が比較しやすい: 同じカテゴリへの振り分け率を数値化できる
  • 迷いの発見: どのカテゴリにも入れにくい「浮遊カード」が見つかる

3. いつ使うか(適用場面)

特に重要になるケース

  • 新規サイト・アプリの情報設計: ゼロベースでカテゴリ構造を決める
  • 「メニューがわかりにくい」という声が上がった時: 既存構造の問題点を特定
  • 大規模なコンテンツ移行・統合: 複数サイトを1つにまとめる際の分類基準
  • 専門用語が多いサービス: ユーザーの語彙と設計者の語彙のギャップ発見

避けるべき状況

  • コンテンツが少ない時: カード数が20枚未満だとグループ化の意味が薄い
  • すでにユーザー行動データがある時: ログ分析で傾向が見える場合は、まず現状把握を優先し、その後にカードソートで構造を検証
  • タスクフローの検証: 「どの順序で操作するか」はで確認

4. 具体の設計ルール(チェックリスト)

最低ライン(Must)

理想ライン(Better)


5. 実施手順(ステップバイステップ)

STEP 1: カードの準備

カードに書く内容のルール:

❌ 悪い例✅ 良い例
設定パスワードを変更する
ヘルプよくある質問を見る
商品新着商品を見る

抽象的なラベルではなく、ユーザーが実際に行うタスク具体的なコンテンツを書きます。

STEP 2: 参加者のリクルーティング

  • ターゲットユーザーに近い人: 専門知識の有無で分類が変わる
  • 15〜20人: オンラインツールなら30人以上も可能
  • 所要時間: 対面30〜45分、オンライン15〜20分

STEP 3: セッションの実施

オープン・カードソートの進め方:

  1. 「このカードを、自分がわかりやすいと思うグループに分けてください」
  2. 「グループができたら、それぞれにグループ名を付けてください」
  3. 「なぜそのカードをそのグループに入れたか、教えてください」

クローズド・カードソートの進め方:

  1. 「このカテゴリ(親グループ)の中で、最もふさわしい場所にカードを入れてください」
  2. 「どこにも入れにくいカードがあれば、『不明』に置いてください」
  3. 「迷ったカードについて、なぜ迷ったか教えてください」

STEP 4: 結果の分析

類似度マトリクス

「カードAとカードBを同じグループに入れた人の割合」をマトリクス化。

         カードA  カードB  カードC
カードA    -       80%      20%
カードB   80%       -       15%
カードC   20%      15%       -

80%以上で同じグループに入れられたカード同士は、同じカテゴリに配置すべきです。

デンドログラム(樹形図)

クラスター分析を行い、自然なグループの境界を可視化します。Optimal Workshopなどのツールで自動生成可能。

STEP 5: ナビゲーション設計への接続

  1. カテゴリ名の決定: ユーザーが付けたグループ名から選ぶ
  2. 階層構造の決定: デンドログラムのを参考に
  3. 浮遊カードの処理: どのカテゴリにも入りにくいものは「その他」ではなく、上で複数の場所に配置

6. よくある失敗パターン

❌ 抽象的なカード

「設定」「ヘルプ」のような抽象的なラベルは、分類基準がブレやすい。具体的なタスク・コンテンツを書くこと。

❌ 参加者が少なすぎる

5人程度では偏りが大きく、一般化できない。最低15人は必要。

❌ 結果を「多数決」で決める

60%が「A」に入れて、40%が「B」に入れたカードを「Aに決定」とするのは危険。40%の迷いが存在するという事実を重視し、UI上で両方からアクセスできるようにする。


7. おすすめツール

ツール特徴料金
Optimal Workshopカードソート特化、デンドログラム自動生成無料プランあり
UserZoomリモートテスト総合有料
Mazeテストと統合無料プランあり
Miro対面セッション用無料プランあり
付箋最もシンプル無料

8. テンプレート

カード作成ルール

【良いカードの例】
✅ パスワードを変更する
✅ 注文履歴を確認する
✅ 新着商品を見る
✅ カード情報を追加する

【悪いカードの例】
❌ 設定(抽象的すぎる)
❌ ヘルプ(抽象的すぎる)
❌ マイページ(範囲が広すぎる)

結果記録テンプレート

【参加者】P1

【グループ1】「買い物」(参加者が付けた名前)
- 新着商品を見る
- 注文履歴を確認する
- カートを見る

【グループ2】「アカウント」
- パスワードを変更する
- カード情報を追加する
- 住所を変更する

【迷ったカード】
- 「お気に入り」→ 買い物?アカウント?

【理由メモ】
「買うときに使うものをまとめた」

9. 関連リンク


10. まとめ

今日から直せる一手

次にナビゲーションで悩んだら、付箋にコンテンツ名を書いて、同僚5人に「わかりやすいように分けて」と頼んでみてください。10分で「設計者とユーザーの認知ギャップ」が見えます。

チームに共有するなら一言

「ユーザーの頭の中の引き出しは、設計者の引き出しとは違う」——カードソートは、その違いを可視化する最も簡単な方法です。


UXデザインを体系的に学ぶ

リサーチの手法を理解したら、次は「UI原則」と「UIコンポーネント」も学ぼう。

カードソートとは、ユーザーに情報をグループ分けしてもらい、自然な分類構造を探る定性調査手法です。

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最終更新: 2026年3月17日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

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