#480
UX基礎・原則
#480げんていごうりせい
限定合理性 (Bounded Rationality)
別名・表記:Bounded Rationality合理性の限界
UIXHERO Definition
「人間はそこまで賢くない」。完璧な計算をして最適解を選ぶのではなく、限られた情報と時間の中で「まあ満足できる」解を選ぶこと。
概要
経済学における「ホモ・エコノミクス(完全に合理的な経済人)」モデルに対して、より現実的な人間像を提示する概念として提唱された理論。
人間は無限の情報処理能力を持つ存在ではなく、時間・情報・認知資源の制約の中で意思決定を行う。取り巻く環境が複雑すぎるため、最適化(Maximizing) ではなく満足化(Satisficing) を目指して行動する。これは「最善を探し続ける」のではなく、「一定基準を満たした時点で探索を終了する」という意思決定戦略である。
UXでの活用
- 選択肢の絞り込み: ユーザーは多数の選択肢を比較検討する能力(認知的リソース)に限界があるため、おすすめを提示したり、フィルタリング機能を提供してサポートする。
- デフォルトの力: ユーザーは認知的負担を避ける傾向があり(限定合理性)、さらに現状維持バイアス(Status Quo Bias)によって変更を避けやすい。そのため、推奨設定をデフォルトにしておくことは効果的である。
- 情報の段階的開示: 一度にすべての情報を提示せず、必要な時に必要な情報だけを表示する(プログレッシブ・ディスクロージャー)ことで、認知的負担を減らす。
💡 使いどころ
ユーザーの行動を予測・設計する際の前提として。ユーザーが論理的に正しい選択をするとは限らない(ヒューリスティックを使う)ことを理解し、サポートするUIを設計する。
⚠️ 注意点・誤用
「ユーザーは馬鹿だ」という意味ではない。脳のエネルギーを節約するための高度な適応戦略であると理解することが重要。情報を詰め込みすぎると(認知負荷)、合理性はさらに低下する。
具体例
- 全ての保険商品を比較せず、知人が勧めてくれたものに決める
- 最安値を探すのを諦めて、そこそこの値段で手を打つ(満足化)
- 複雑な仕様書を読まず、直感で操作する
出典・参考文献:
- Simon, H. A. (1957). Models of Man.
- Kahneman, D. (2003). Maps of bounded rationality: Psychology for behavioral economics. American Economic Review, 93(5), 1449–1475.
- Simon, H. A. (1957). Models of Man: Social and Rational. Wiley.
- Kahneman, D. (2003). Maps of bounded rationality: Psychology for behavioral economics. American Economic Review, 93(5), 1449–1475.
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