UIXHERO

アイトラッキング

ユーザーの視線の動きを専用機器で計測し、注視点や視線パターンを分析する調査手法。

2026年3月21日
更新: 2026年8月27日
4
by Dengen Yosho(DGYS)

「見ているはず」——その思い込みが、重要な情報を見落とさせる。

ページに情報を載せても、ユーザーが見ているとは限らない。バナーブラインドネス、スキャン読み、の誤り——さまざまな理由で、情報は無視される。

アイトラッキングは実際に何を見ているかを可視化する。クリックやスクロールではわからない「見ているけどクリックしない」「見ていない」を発見する。


1. 手法の定義

専用の機器を使ってユーザーの視線の動き(注視点、視線経路、滞留時間)を計測し、視覚的注意のパターンを分析する調査手法。

マウスの動きと視線は必ずしも一致しない。アイトラッキングは「本当に見ているもの」を客観的に測定する。


2. いつ使うか

適している場面

  • 視覚的階層の検証: 重要な情報が最初に見られるか
  • 広告・バナーの効果測定: 気づかれているか
  • ナビゲーションの評価: 目的の要素を探せているか
  • 学術研究: 厳密な視線データが必要

向いていない場面

  • 低コストで実施したい → ヒートマップ(マウス追跡)で代用
  • リモートで実施したい → 機器が必要なため対面が基本
  • 大量のサンプルが必要 → コストがかかる

3. 設計判断の核

「見ている」と「理解している」は別。

視線がそこに向いていても、情報を処理しているとは限らない。目は向いているが頭に入っていない——アイトラッキングの限界を知っておく必要がある。

よくある誤解 「アイトラッキングがあればマウス追跡は不要」

実際 アイトラッキングは精度が高いがコストも高い。初期の仮説把握や低コストではマウス追跡のヒートマップで十分なことも多い。アイトラッキングは厳密なデータが必要な場合に使う。


4. 調査タイプ

内容
データ定量(視線座標、滞留時間)
対象行動(視覚的注意)
サンプル15〜30人(高密度な視線データを個別に取得するため、大規模サンプルより精度重視)
実施フェーズDesign / Deliver(の評価、効果測定)

主要な指標

指標意味
注視点(Fixation)視線が一定時間とどまった点
注視時間特定エリアを見ていた時間
注視回数特定エリアを見た回数
最初の注視までの時間要素に気づくまでの時間
視線経路(Scanpath)視線の移動パターン

5. 実施プロセス

1. 機器の準備

アイトラッカーの種類

  • 据え置き型: モニター下部に設置、精度が高い
  • ウェアラブル型: メガネ型、実環境での測定が可能
  • Webカメラベース: 低コストだが精度は劣る

2. キャリブレーション

  • 参加者ごとに視線の校正を行う
  • 画面上の点を順に見てもらう
  • 精度を確認

3. テスト実施

  • タスクを与える or 自由閲覧
  • 視線データを記録
  • 必要に応じて法を併用

4. データ分析

可視化

  • ヒートマップ: の分布
  • ゲイズプロット: 注視点を順に表示
  • (Area of Interest)分析: 特定エリアの注視データ

定量分析

  • AOIごとの注視時間・回数を比較
  • 条件間の統計比較

5. インサイト抽出

  • 見られていない重要要素の発見
  • 視線の流れと意図したフローの比較
  • 改善案の検討

6. 実務チェックリスト

最低ライン(Must - これがないと失敗)

理想ライン(Better - プロの品質)


7. 関連リンク

関連するUXリサーチ手法

関連するUX心理

関連する用語


まとめ

アイトラッキングはユーザーの視線を専用機器で計測し、「実際に何を見ているか」を可視化する手法である。クリックやスクロールではわからない「見ているけどクリックしない」「見ていない」を発見できる。ただし「見ている=理解している」ではない点に注意。コストが高いため、多くの場合はマウス追跡(ヒートマップ)で代用し、厳密なデータが必要な場合にアイトラッキングを使う。

更新のお知らせ

サイトに載せていない実例や、新しい記事のお知らせはこちらで出しています。

読んだ内容を、自分の画面に当てるとき

UIXHEROは、記事を書くほかに、画面の検品・判定、デザインシステムの構築、実装と改善の伴走を受けています。何を頼めばいいか決まっていない段階の相談も、同じ窓口で受けます。

UIXHEROに頼めることを見る

※ 記事の内容についての質問や、書いてほしいテーマの要望も同じ窓口で受けています

記事をシェア

メールでお知らせを受け取る

最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

あわせて読みたい

この記事に関連する記事をご紹介します

認知的ウォークスルー

初めて使うユーザーの視点で、タスク完了までの各ステップを検証するユーザビリティ評価手法。

2026年3月21日
5

デザインレビュー

チームやステークホルダーがデザインを評価し、問題点や改善案を議論する協働プロセス。

2026年3月21日
5

ファーストクリックテスト

ユーザーが最初にクリックする場所を測定し、ナビゲーションやレイアウトの問題を発見する簡易テスト。

2026年3月21日
5

もっと深く知りたいですか?

ここに掲載されていないトピックについても、リクエストがあれば解説記事を追加します。 わかりにくい点や、具体的な事例について知りたいことがあれば教えてください。

リクエストを送る