UIXHERO

ユーザーリサーチとユーザビリティテストの違いとは?発見と検証の正しい使い分け

ユーザーリサーチとユーザビリティテストの違いを図解で解説。リサーチは「何を作るべきか」を発見し、テストは「ちゃんと使えるか」を検証する。EC・社内ツール・新規プロダクトのケース比較で正しい使い分けがわかります。

2026年3月24日
更新: 2026年8月27日
7
by Dengen Yosho(DGYS)

3行でわかるユーザーリサーチとユーザビリティテストの違い

  • ユーザーリサーチ:ユーザーのニーズ・課題・を理解するための調査
  • ユーザビリティテスト:作ったがちゃんと使えるかを確かめる検証
  • 違い:リサーチは「何を作るべきか」を見つけ、テストは「ちゃんと使えるか」を確かめる

この記事の要点(UIXHERO視点)

  • は「何を作るべきか」を発見する。
  • は「ちゃんと使えるか」を検証する。
  • 両者を混同すると、順番も予算も判断もずれる。

導入:「ユーザーテストしましたか?」への違和感

「このデザイン、ユーザーテストしましたか?」

プロジェクトでよく聞くフレーズです。しかし、この質問には曖昧さがあります。

  • ユーザーにニーズを聞いたのか?
  • ユーザーにプロトタイプを触らせたのか?

この2つは全く異なる活動です。前者はユーザーリサーチ、後者はユーザビリティテストです。

(なお「ユーザーテスト」という言葉は曖昧なため、本記事では正式名称である「ユーザビリティテスト」を使います)

リサーチとテストを混同すると、「何を作るべきか」と「ちゃんと作れているか」の判断がごちゃ混ぜになる。

この問題を解く鍵が、ユーザーリサーチとユーザビリティテストの使い分けです。


ユーザーリサーチとユーザビリティテストの違い(定義)

ユーザーリサーチは「発見」であり、ユーザビリティテストは「検証」である。

項目ユーザーリサーチユーザビリティテスト
目的ユーザーのニーズ・課題・文脈を理解するUIのを評価する
タイミング設計前(探索フェーズ)設計後(フェーズ)
問い「何を作るべきか?」「ちゃんと使えるか?」
対象ユーザーの行動・目標・課題UI・・製品
手法例インタビュー、観察、日記調査タスクテスト、シンクアラウド、

ユーザーリサーチは、人類学・社会学の調査手法がデザインに取り入れられ、「ユーザー中心設計()」とともに普及しました。ユーザビリティテストは、ヤコブ・ニールセンらが「5人で85%の問題を発見できる」と実証し、プラクティスになっています。

リサーチとテストの基本比較タップして拡大表示

一言での使い分け ユーザーリサーチは「発見」——何を作るべきかを知るための調査。 ユーザビリティテストは「検証」——作ったものがちゃんと使えるかを確かめる。


なぜ重要なのか

1. 順序を間違えると無駄が生じる

順序結果
✅ リサーチ → 設計 → テスト正しいものを正しく作る
❌ 設計 → テスト(リサーチなし)誰も求めていないものを使いやすくする
❌ リサーチ → 設計(テストなし)正しいものを間違って作る

リサーチなしでテストだけ行うと、「そもそもこの機能は必要だったのか?」という根本的な問いに答えられません。

リサーチ→設計→テストのプロセスタップして拡大表示

2. 得られる知見が異なる

  • ユーザーリサーチ: 「ユーザーは〇〇に困っている」「△△が本当のニーズだった」
  • ユーザビリティテスト: 「このボタンに気づかない」「この言葉の意味がわからない」

リサーチは「問題の発見」、テストは「解決策の検証」です。


具体例・ケース比較

ケース1:ECサイトのリニューアル

フェーズユーザーリサーチユーザビリティテスト
問い「なぜカート離脱率が高いのか?」「新しいチェックアウトUIは使いやすいか?」
手法離脱ユーザーへのインタビュー、行動観察プロトタイプを使ったタスクテスト
発見例「送料がいつわかるかわからず不安」「会員登録が面倒」「住所入力フォームで郵便番号の位置がわからない」
次のアクション送料早期表示、ゲスト購入機能を設計フォームのレイアウトを修正

ECサイトのケース比較タップして拡大表示

ケース2:社内ツールの改善

フェーズユーザーリサーチユーザビリティテスト
問い「現場はどんな業務で困っているか?」「新機能は現場で使えるか?」
手法現場観察(シャドーイング)、実際の業務データを使ったテスト
発見例「Excelとの行き来が多い」「承認フローが複雑」「一括インポート機能の場所がわからない」
次のアクションExcel連携機能、承認フロー簡略化を設計にインポートボタンを追加

社内ツールのケース比較タップして拡大表示

ケース3:新規プロダクト開発

フェーズユーザーリサーチユーザビリティテスト
問い「このプロダクトに市場はあるか?」「MVPは最低限使えるか?」
手法問題インタビュー、競合ユーザーへの調査ペーパープロトタイプ、コンセプトテスト
発見例「既存ツールに不満はあるが、乗り換えコストが高い」「価値は伝わるが、初期設定で詰まる」
次のアクション乗り換えコストを下げる機能を検討を強化

新規プロダクトのケース比較タップして拡大表示


実務でなぜ区別すべきか

UIXHEROがこの2つを厳密に区別する理由は3つあります。

1. 予算・スケジュールの配分が異なる

ユーザーリサーチユーザビリティテスト
タイミングプロジェクト初期設計中〜リリース前
頻度プロジェクトあたり1〜2回ごとに複数回
コスト高め(深い調査が必要)低め(5人で十分)

「ユーザー調査」と一括りにすると、適切な予算配分ができません。

2. 必要なスキルが異なる

ユーザーリサーチユーザビリティテスト
聞き方オープンクエスチョン、深掘りタスク指示、観察
分析、テーマ分析タスク成功率、エラー分類
アウトプット、ジャーニーマップ課題リスト、改善提案

リサーチャーとテスターは、重なる部分もあれば異なるスキルも必要です。

3. 「テストすればいい」という誤解を防ぐ

「ユーザーテストすればOK」という考えは危険です。テストで発見できるのは「UIの問題」であり、「そもそも何を作るべきか」はリサーチでしか発見できません。

体制・リソースの違いタップして拡大表示


よくある質問

Q1. 時間がないときはどちらを優先すべきですか?

状況によります。

  • 新規プロダクト・大きな方向転換: リサーチを優先。間違った方向に進むと、後で大きな手戻りが発生する
  • 既存プロダクトの改善: テストを優先。すでにユーザーニーズはある程度わかっている前提で、UIの改善に集中

どちらも省略すべきではありませんが、フェーズに応じて重みづけを変えます。

Q2. インタビューはリサーチですか?テストですか?

目的によります。

  • 「普段どんな課題がありますか?」→ リサーチ
  • 「このプロトタイプを使って〇〇してください」→ テスト(検証)

同じ「インタビュー」という手法でも、目的が異なれば位置づけが異なります。

Q3. A/Bテストはユーザビリティテストですか?

別物として捉える方が実務的です。

観察型ユーザビリティテストA/Bテスト
データ定性(観察、発話)定量(コンバージョン率)
規模5〜10人数千〜数万人
発見「なぜ使いにくいか」「どちらが成果が出るか」

A/Bテストは「どちらが良いか」はわかりますが、「なぜ良いか」はわかりません。両者は補完関係にあり、組み合わせて使うのが理想です。


まとめ

  • ユーザーリサーチ: ユーザーのニーズ・課題を発見する(設計前・探索)。
  • ユーザビリティテスト: UIの使いやすさを検証する(設計後・検証)。
  • 使い分け: リサーチで方向を定め、テストで品質を担保する。両方を適切なタイミングで行うことで、「正しいものを正しく作る」ことができる。

「ユーザーテストしました」では不十分。「何を発見し、何を検証したか」を語れるチームが、良いプロダクトを作る。


次に読む

さらに探す

更新のお知らせ

サイトに載せていない実例や、新しい記事のお知らせはこちらで出しています。

読んだ内容を、自分の画面に当てるとき

UIXHEROは、記事を書くほかに、画面の検品・判定、デザインシステムの構築、実装と改善の伴走を受けています。何を頼めばいいか決まっていない段階の相談も、同じ窓口で受けます。

UIXHEROに頼めることを見る

※ 記事の内容についての質問や、書いてほしいテーマの要望も同じ窓口で受けています

関連する用語 (Glossary)

記事をシェア

メールでお知らせを受け取る

最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

あわせて読みたい

この記事に関連する記事をご紹介します

定量調査と定性調査の違いとは?UXリサーチでの正しい使い分け

「定量調査」と「定性調査」は混同されやすい概念です。本記事では、UXリサーチにおける決定的な違いと、目的に応じた正しい使い分けを解説します。

2026年3月24日
9

UXリサーチとは?手法・進め方・UIデザインへの活かし方を解説

UXリサーチとはユーザーの行動・動機・課題を体系的に調査するプロセス。代表的な手法、進め方、UIデザインへの活かし方をUIXHEROの3レイヤー構造で解説します。

2026年3月22日
11

ペルソナとセグメントの違いとは?UXデザインで混同しない正しい使い分け

ペルソナとセグメントの違いをUXデザインとマーケティングの両面から解説。セグメントは「誰に届けるか」を決める集団分類、ペルソナは「どう設計するか」を導く人物像。図解とケース比較で正しい使い分けがわかります。

2026年3月24日
8

もっと深く知りたいですか?

ここに掲載されていないトピックについても、リクエストがあれば解説記事を追加します。 わかりにくい点や、具体的な事例について知りたいことがあれば教えてください。

リクエストを送る

その画面、AIに作らせたあと「出していいか」誰が判断していますか?

UIXHERO の知識を、実際の画面の判断に。AIが作ったUIの課題・改善優先度・判断根拠を、 6観点で整理する軽量 Design QA です。

Design QA を見る