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AIが作った画面は、出していいのか|文脈ゼロのAIに175画面つくらせて分かったこと

生成AIにUIを作らせると、動く画面はかなりの確率で出てきます。では出していいかどうかは何で判断するのか。文脈ゼロのAIにデザインシステムだけで175画面を組ませた記録から、満点の回と最低点の回で何が違ったのかを、実際の画面を並べて確かめます。

2026年8月11日
更新: 2026年8月27日
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by Dengen Yosho(DGYS)

この記事の要点

  • 動いたことは、出していい理由になりません。175画面のうちいちばん点が低かった2.5点の回も、型チェックは通り、コンソールエラーはゼロで、狭い画面でも崩れていませんでした
  • 点が分かれたのは、その画面でいちばん大きく見せている部分が、すでにあるコンポーネントで作れたかどうかでした。満点の回と2.5点の回を、実際の画面で並べます
  • だからレビューで最初に見る場所は、AIがその場で組んだところです。自分の画面で確かめる手順を3つ、最後にまとめます

動くかどうかでは、もう差がつかない

いまは、指示を出せば画面が出てきます。型は通り、コンソールは静かで、スマートフォンの幅でも崩れていません。ところが、そこから先に進めなくなります。動いていることは分かるのに、出していいかどうかが分からない。

ページネーションの出し方や、トグルの状態の見せ方を調べていたはずが、気づくと画面そのものを出していいかどうかの話になっています。

これを、実際に作らせた画面で確かめます。

材料:文脈ゼロのAIに175画面を組ませた記録

XHERO では、デザインシステム 群青(GUNJO)gunjo.jp を新しいタブで開く を使って、コールドテストという実験を続けています。群青を一度も見たことのないAIに、公開ドキュメントとnpmで配っている中身だけを渡し、実在の業種の画面を1枚組ませるものです。毎回、何も知らない状態から始めるので「コールド」と呼んでいます。渡さないものも決めています。

  • 群青のソースコードは見せない。読めるのは公開ドキュメントとnpmの中身だけ
  • 前の回で何があったかも伝えない。毎回、ゼロのAIが1枚を担当する
  • お題は実在する業種の、実際に使われている画面にする

これを続けると、同じデザインシステムに対して、条件をそろえた画面が何枚も溜まります。 群青は UIXHERO が作っているものなので、うまくいかなかった回も含めて全部出せます。

2026年8月11日時点で175画面あります。基盤になる汎用の画面が30枚、残りは金融・医療・物流・教育・保険・建設など20の業種に分かれています。採点が済んでいるのは174画面で、その平均は4.09点でした。5点満点が4回、いちばん低かったのが2.5点で1回です。4点以上が144画面なので、8割は「だいたい組めている」ところまで届いています。

この5点満点は、すでにあるコンポーネントでどれだけ組めたかの採点です。出していいかどうかの判定とは別の物差しなので、点が高いことは公開してよい理由になりません。

いちばん点が低かった回も、動作では落ちていない

2.5点だった回は、こういう状態でした。型チェックは通り、コンソールエラーはゼロ、狭い画面でも崩れていない。それでも2.5点です。

満点の回と2.5点の回で、動作の面には差がありませんでした。つまり「動く」「崩れない」は、いまのAIならほぼ通過します。通過するものを合格の基準に置くと、全部が合格になります。

満点の回と2.5点の回を、並べて見る

差がついたのは別のところです。実際の画面を2枚見てください。

満点だった回:タクシーの車両管理(5点)

お題は、タクシー会社の営業所で使う車両管理の画面です。保有車両の状態、車検と保険の期限、走行距離による整備の目安、入庫予定を1つの画面で見ます。

タクシー車両管理の画面。上部に指標カードが5枚、左に赤と黄で色分けされた要対応リスト、右に車両ごとの状態カード、下にタブと絞り込みつきの車両一覧表が並んでいるタップして拡大表示 コールドテスト#144「車両管理・車検 / 整備コンソール」。この回で新しく作られたものは、ほとんどありません

この画面が必要としたものを並べます。

  • 上部の指標カード5枚(保有台数、整備中、要整備、車検期限間近、走行距離オーバー)
  • 左の「要対応キュー」13件。失効は赤、期限間近は黄で重さを分けている
  • 右の「稼働盤」。車両ごとに号車・状態バッジ・車種・配置を出す
  • 下の一覧表。並べ替え、絞り込み、ページネーション、タブつき

どれも、群青にすでにあったコンポーネントで組めています。 AIはほとんど作り足していません。

2.5点だった回:小売のポイントアプリ(2.5点)

お題は、ドラッグストアの会員向けマイページです。ポイント残高、会員ランク、使えるクーポン、ポイント履歴を見ます。

小売ポイントアプリのマイページ。画面最上部に濃紺の大きなカードがあり、会員名・ゴールド会員バッジ・利用可能ポイント3,480P・次のランクまでの進捗バー・失効予告が入っている。その下にクーポン一覧、ポイント履歴、ランク特典が並ぶタップして拡大表示 コールドテスト#118「ハッピーズ メンバーズ マイページ」。いちばん上の濃紺のカードだけが、その場で組まれています

下半分は満点の回と変わりません。クーポン一覧もポイント履歴もランク特典も、すでにあるコンポーネントで組めています。

問題は、画面のいちばん上にある濃紺の大きなカードです。会員名、ゴールド会員のバッジ、利用可能ポイント3,480P、会員証バーコードのボタン、次のランクまでの、失効予告。この画面を開いた人がいちばん先に見るのはここで、この画面の主役です。

その主役を受け持つコンポーネントが、当時の群青にありませんでした。 だからAIはその場で組みました。

同じ主役が、3回続けて手作りされていた

決定的だったのは、これが1回きりではなかったことです。

お題点数
#116航空マイレージ3.5点
#117鉄道ポイント3点
#118小売のポイントアプリ2.5点

3回とも「残高とランクを見せる主役ブロック」が必要で、3回ともコンポーネントが無く、3回ともその場で組まれました。点は3.5、3、2.5と下がり続けています。 その後この主役はコンポーネントになりました。

端のほうの作り込みの差ではありません。その画面の主役が、すでにあるもので作れたかどうかで点が分かれています。

足りないものは、黙って作られる

もう1つ、レビューにそのまま効く事実があります。

この実験では、AIに「無かったので自分で組んだ」と申告するよう頼んでいます。だから跡が残ります。175回のうち 134回でその申告がありました(2026年8月11日に記録を数えたものです)。

あなたの手元には、その申告がありません。 出てきたコードでは、すでにあったコンポーネントと、今回のために組まれたものが、同じ顔で並んでいます。どちらも同じように動き、同じように見えます。見た目では区別がつきません。

さきほどの2枚も同じです。濃紺のカードは、画面を見ただけでは「その場で組まれたもの」だと分かりません。きれいに出来ているからです。AIが作った画面のレビューは、この2つを分けるところから始まります。

自分の画面で確かめる3つの手順

ここからは、いま作りかけの画面に当てられる形にします。道具は要りません。

手順確かめること
手順1この画面の主役は、すでにあるコンポーネントで出来ているか
手順2その場で組まれた箇所は、キーボードと読み上げでも同じことができるか
手順3同じものを、別の画面でもう一度作っていないか

手順1 いちばん大きく見せている部分を、指差す

画面を開いて、いちばん大きく、いちばん目立つ場所を1つ指差します。小売のポイントアプリなら、あの濃紺のカードです。

その1か所が、今回のためにその場で組まれたものなら、そこがいちばん壊れやすく、いちばん引き継ぎにくい場所です。画面の端にある小さな部品が自作でも影響は限られますが、主役が自作だと画面全体がそこに引きずられます。

すでにあるコンポーネントで出来ていれば、手順1は通過です。

手順2 自作の箇所を、マウスを使わずに操作してみる

すでにあるコンポーネントが内側に持っていた仕組みは、自前の実装には付いてきません。タブキーで順に移動できるか。矢印キーで選べるか。いま選ばれているものが読み上げで分かるか。 書かなければ、無いままです。

コールドテストの記録でも、その場で組まれた骨組みに対して、これらを1つずつ足し直す作業が繰り返し出てきます。判断の基準は キーボード操作の設計スクリーンリーダーのためのUX にまとめてあります。

手順3 同じものを2回作っていないか、数える

2回目が出た時点で、それはコンポーネントにする合図です。

#116から#118で起きたのは、まさにこれです。2回目(鉄道ポイント)で気づいていれば、3回目は無かった。 3つ目の画面まで放っておくと、直す場所が3か所になります。

この3つは、見た目の良し悪しの話ではありません。デザインシステムの考え方コンポーネントの一貫性で扱ってきたことが、AIが書いたコードの上でそのまま問われています。

実物を見る

お題、点数、足りなかったもの、実際の画面が、175画面ぶん並んでいます。自分がいま作っている画面と近い業種から見ると早いです。

コールドテストの記録を見る(gunjo.jp)gunjo.jp のコールドテストの記録を新しいタブで開く

UIXHERO 側の対応表は 群青とUIコンポーネントの対応 にあります。どのコンポーネントについて「いつ・なぜ使うか」を書いてあるかは UIコンポーネント から辿れます。

判断を、自分の外に置く方法もある

ここまでは、自分ひとりで確かめる話でした。ただ、「出していいか」は作った本人にはいちばん見えにくい判断です。

175画面のうち1枚を、6つの観点で実際に検品した記録が AIが作った施工写真台帳を、出す前に検品した にあります。この画面はコールドテストの採点では4点でしたが、検品では「要再構築」でした。 組めたかと、出せるかは別の物差しだという例です。使っている6観点と判定は design-qa.comdesign-qa.com を新しいタブで開く で公開しています。


この記事は、UIXHEROがAI(Claude)と協働で制作しています。実験の設計・判断・公開前の事実確認は人間が行い、実作業と下書き執筆はAIが担っています。

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最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

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