UIXHERO
#431
心理学・認知バイアス
#431

意図的な摩擦

意図的な摩擦

別名・表記:Intentional Friction

UIXHERO Definition

ユーザーの行動をあえて妨げ、立ち止まらせるデザイン手法。誤操作の防止、熟考の促進、確認のために戦略的に用いられる「良い摩擦」について。

概要

UXデザインにおいて、通常は排除すべき「摩擦(フリクション)」を、あえて意図的に導入する手法。 ユーザーの操作を一時的に止め、考えさせる時間を与えることで、重大なミス(データの消去など)を防いだり、衝動的な行動を抑制したり、情報の理解度を高める効果がある。「善意の摩擦」とも呼ばれる。

UXでの活用

  • 確認ダイアログ: 「本当に削除しますか?」というワンクッションを置くことで、誤操作によるデータ消失を防ぐ。さらに強力な摩擦として、「DELETE」という文字を入力させる場合もある。
  • セキュリティ強化: ログイン時の2段階認証は手間(摩擦)だが、それによって「守られている」という安心感と実質的なセキュリティを提供する。
  • フェイクニュース対策: リンク先の記事を開かずにリツイートしようとした時、「記事を読んでから共有しませんか?」とアラートを出すことで、無責任な情報の拡散を抑制する。

💡 使いどころ

退会処理、データの完全削除、高額な課金など、取り返しのつかない操作。「本当に削除しますか?」と入力を求め、反射的な操作を防ぐ。

⚠️ 注意点・誤用

摩擦(使いにくさ)は諸刃の剣。通常時は「スムーズさ」を優先し、ここぞという時だけ摩擦を入れる。解約阻止のためだけに複雑な手順を強いるのはダークパターン。

具体例

  • 「削除」とタイプしないと押せないボタン
  • Twitterの「記事を読んでからリツイートしませんか?」という確認ダイアログ
出典・参考文献:
  • Thaler, R. H., & Sunstein, C. R. (2008). Nudge: Improving decisions about health, wealth, and happiness. Yale University Press.
  • Norman, D. A. (2013). The Design of Everyday Things: Revised and Expanded Edition. Basic Books.
  • Fogg, B. J. (2009). A behavior model for persuasive design. In Proceedings of the 4th International Conference on Persuasive Technology (pp. 1–7). ACM.
  • Sunstein, C. R. (2015). The ethics of nudging. Yale Journal on Regulation, 32(2), 413–450.
  • Mathur, A., Acar, G., Friedman, M. J., et al. (2019). Dark patterns at scale: Findings from a crawl of 11K shopping websites. In Proceedings of the ACM on Human-Computer Interaction, 3(CSCW), 1–32.
作成: 2026年1月26日
更新: 2026年2月14日

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