UIXHERO

UXリサーチとは

ユーザーを理解し、根拠に基づいた設計判断を行うための体系的な調査手法の総称。

2026年3月19日
更新: 2026年8月27日
5
by Dengen Yosho(DGYS)

「ユーザーのことはわかっている」——この思い込みが、どれだけ多くのプロダクトを失敗に導いてきたか。

プロダクトマネージャーは「ユーザーが欲しいもの」を知っていると思っている。デザイナーは「使いやすい」を作れると思っている。エンジニアは「技術的に優れた実装」が良いプロダクトになると思っている。しかし実際には、彼らはユーザーではない。

ユーザーの頭の中は完全には見えない。ユーザーの行動は想像だけでは限界がある。ユーザーの本音は聞いても出てこない。だからこそ、体系的に、科学的に、ユーザーを理解する手法が必要になる。これがリサーチだ。


1. 定義

ユーザーを理解し、根拠に基づいた設計判断を行うための体系的な調査手法の総称。

「勘」や「経験」ではなく、「データ」と「」に基づいて意思決定する。ユーザーの行動・態度・ニーズ・課題を明らかにし、プロダクト設計に反映させる。


2. なぜ必要か

ユーザーを理解できていない3つの理由

  1. 知識の呪い: 作り手は製品に詳しすぎて、初心者の困難を想像できない
  2. 確証バイアス: 自分の仮説を支持する情報だけを集めてしまう
  3. 態度と行動のギャップ: ユーザーが言うことと、実際にすることは違う

UXリサーチがないと何が起きるか

  • 誰も使わない機能を大量に作る
  • 本当の課題を見逃す
  • 改善の方向を間違える
  • リリース後に手戻りが発生する

3. UXリサーチの分類

定性 vs 定量

定性定量
目的「なぜ」を深く理解「どれくらい」を数値で把握
サンプル少数(5〜15人)多数(100人以上)
手法例インタビュー、観察サーベイ、
強み深いインサイト統計的な信頼性

行動 vs 態度

行動態度
観察対象ユーザーが何をしたかユーザーが何を思っているか
手法例、アクセス解析インタビュー、サーベイ
注意点「なぜ」は見えない言動が一致しないことがある

4象限マトリクス

        態度(What they say)
            ↑
   定性      |       定量
インタビュー |     サーベイ
            |
←───────────┼───────────→
            |
フィールドスタディ | A/Bテスト
ユーザビリティテスト | アクセス解析
   定性      |       定量
            ↓
        行動(What they do)

4. 代表的な手法

定性 × 態度

定性 × 行動

定量 × 態度

  • サーベイ: 多数のユーザーに質問
  • NPS: 推奨意向を測定
  • SUS: ユーザビリティを数値化

定量 × 行動

情報設計系手法(分類・構造検証)


5. UXリサーチの基本サイクル

発見(Discover)
    ↓
定義(Define)
    ↓
設計(Design)
    ↓
検証(Deliver)
    ↓
(改善のループ)

各フェーズと手法

フェーズ目的代表的な手法
Discover課題・機会を発見インタビュー、フィールドスタディ
Define課題を定義・優先順位付けサーベイ、カードソート
Design解決策を設計・検証ユーザビリティテスト、
Deliver効果を測定・改善A/Bテスト、アクセス解析、

6. よくある誤解

「リサーチには時間がかかる」

実際: 5人のユーザビリティテストは1日で実施できる。ゲリラテストなら1時間で3人のが得られる。リサーチをしないことによる手戻りの方がコストは高い。

「リサーチは初期フェーズだけ」

実際: リサーチは全フェーズで必要。リリース後も継続的にユーザーを理解し、改善し続ける。

「ユーザーに聞けば答えがわかる」

実際: ユーザーは自分のニーズを正確に言語化できない。態度と行動にはギャップがある。だから「聞く」だけでなく「観察する」「測定する」手法が必要。


7. 始め方

まずやるべき3つのこと

  1. ユーザビリティテスト: 5人のユーザーに製品を使ってもらい、観察する
  2. ユーザーインタビュー: 5人のユーザーに「なぜ」を聞く
  3. アクセス解析の確認: 今のユーザー行動を数字で把握する

避けるべきこと

  • 1回のリサーチで結論を出す: 継続的に実施する
  • リサーチ結果を無視する: アクションにつなげる
  • 手法に固執する: 目的に応じて使い分ける

8. 関連リンク

UXリサーチ手法一覧

関連するUX心理

関連する用語


まとめ

UXリサーチは「ユーザーのことはわかっている」という思い込みを打ち破る手法である。定性と定量、行動と態度——目的に応じて手法を使い分け、根拠に基づいた設計判断を行う。インタビューで仮説を作り、ユーザビリティテストで問題を発見し、サーベイで規模を検証し、A/Bテストで改善を確認する——これがUXリサーチの基本サイクルだ。

更新のお知らせ

サイトに載せていない実例や、新しい記事のお知らせはこちらで出しています。

読んだ内容を、自分の画面に当てるとき

UIXHEROは、記事を書くほかに、画面の検品・判定、デザインシステムの構築、実装と改善の伴走を受けています。何を頼めばいいか決まっていない段階の相談も、同じ窓口で受けます。

UIXHEROに頼めることを見る

※ 記事の内容についての質問や、書いてほしいテーマの要望も同じ窓口で受けています

記事をシェア

メールでお知らせを受け取る

最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

あわせて読みたい

この記事に関連する記事をご紹介します

リサーチ計画

目的・仮説・手法・スケジュールを明確にし、成果につながるUXリサーチを設計する方法。

2026年3月19日
7

UXリサーチプロセス

発見→定義→設計→検証のサイクルで、継続的にユーザー理解を深めるリサーチの進め方。

2026年3月19日
7

インタビュアーマインド|インタビュー技術

インタビュー技術の前に必要な姿勢と心構え。好奇心、中立性、沈黙への耐性。

2026年3月22日
6

もっと深く知りたいですか?

ここに掲載されていないトピックについても、リクエストがあれば解説記事を追加します。 わかりにくい点や、具体的な事例について知りたいことがあれば教えてください。

リクエストを送る