UIXHERO

リモートインタビュー|インタビュー技術

オンラインでのインタビューを成功させる技法。対面との違い、環境設定、リモート特有の傾聴・深掘りテクニック。

2026年3月22日
更新: 2026年8月27日
6
by Dengen Yosho(DGYS)

この技術でできること

  • 地理的を超えて、多様なユーザーにアクセスしやすくなる
  • リモート特有のコミュニケーション障壁を乗り越えられる
  • 工夫次第で、対面に近いデータ品質を確保できる

: 地方在住のユーザー、海外ユーザー、移動が難しいユーザーにも、オフィスにいながらインタビューできる。ただしリモートには対面とは異なるスキルが必要


なぜ難しいか

リモートでは非言語情報の大半が失われる

対面なら自然に読み取れる姿勢、視線、手の動き、空気感がリモートでは伝わらない。結果、ユーザーの「本音度」の判断が難しくなり、深掘りのタイミングも見落としやすい。さらに、画面越しの会話は沈黙の圧が増すため、もユーザーも早く話を埋めようとしてしまう。


リモートインタビューの進め方

全体フロー

「環境準備」→「ラポール構築の強化」→「対面スキルの応用と調整」→「リモート特有の」。対面の技術をベースに、リモート固有の対策を上乗せする。


ステップ1: 環境を整える

目的: 技術的トラブルを排除し、インタビューに集中できる状態を作る

やること:

インタビュアー側:

  • 安定したネット環境(有線推奨)
  • 静かな、整った照明(顔が見える)
  • カメラは目線の高さに(見下ろし・見上げアングルを避ける)
  • 録画・録音の設定確認(許可も含む)
  • バックアップの通信手段を用意(電話番号の交換)

ユーザー側への事前案内:

  • ツールのインストール手順
  • カメラONの推奨(強制はしない)
  • 「静かな場所でお願いします」の声がけ
  • 「途中で切れたら再度お声がけします」の安心設計

具体例:

事前メール例:

「当日はZoomを使用します。カメラONが望ましいですが、難しければ音声のみでも問題ありません。もし接続が途中で切れた場合は、こちらからお電話いたします。」


ステップ2: ラポール構築を強化する

目的: リモートで失われやすいを補う

やること: 対面より意識的に時間をかける。リモートでは最初の3分が勝負。

  • 最初の1〜2分は雑談に充てる(天気、場所、環境について)
  • カメラの角度や音声の確認を「アイスブレイク」に使う
  • 自分のカメラはONにする(相手がOFFでも)
  • リアクションを対面の1.5倍にする(うなずき、表情、相づち)

なぜ1.5倍が必要か:

  • 画面越しでは表情が伝わりにくい
  • 音声には0.5秒のラグがある(あいづちが被りやすい)
  • 小さなリアクションは「無反応」に見える

具体例:

対面: 軽くうなずく → ちゃんと伝わる

リモート: 軽くうなずく → 相手には見えない

リモート: 大きくうなずく + 「なるほど」 → 伝わる


ステップ3: 傾聴・深掘りを調整する

目的: リモート特有の会話リズムに適応する

やること:

沈黙の扱い:

  • 対面より沈黙が気まずく感じるが、3秒は待つ
  • 「電波の問題ではなく、考えてもらっている」と自分に言い聞かせる
  • 沈黙が長引いたら「今、どんなことを考えていますか?」で補助

あいづちのタイミング:

  • 音声ラグを考慮し、相手の文末で入れる
  • 話の途中で「はい、はい」を入れすぎない(被って聞こえる)
  • チャットに「👍」を打つ方法もある

画面共有の活用:

  • ユーザーに画面を見せてもらう(操作の観察)
  • 「今、画面を見せていただけますか?」の声がけ
  • スクリーンショットの許可を事前に取る

具体例:

対面: ユーザーの手の動き、画面の操作を横から観察

リモート: 「その操作の画面を共有していただけますか?」

👉 リモートでは言語化されない行動を明示的に依頼する必要がある


ステップ4: リモート特有のリスクを管理する

目的: リモートならではのトラブルに備える

リスク対策
接続切れ電話番号を交換しておく。「5分以内に再接続します」のルール
周囲の騒音「もし難しければ、別の日に変更も可能です」
集中力の低下45分を上限にする(対面60分→リモート45分)
録画トラブルローカル録画とクラウド録画を併用
カメラOFF無理強いしない。ただし声のトーンに注意を集中する

よくある失敗

❌ 対面と同じ時間設定にする

リモートは集中力が切れやすい。60分のインタビューはリモートでは長すぎる。

なぜ失敗するか: 画面疲れ(Zoom fatigue)が蓄積する。後半の回答の質が落ちる。

対策:

  • リモートは45分を上限にする
  • 質問数を絞る(対面の8割程度)
  • 必要なら2回に分ける

❌ リアクションが薄い

対面と同じテンションでリアクションすると、リモートでは「無反応」に見える。

なぜ失敗するか: カメラの画角が小さい。音声にラグがある。結果、ユーザーは「聞いてもらえているか不安」になる。

対策:

  • うなずきを大きくする
  • あいづちを明確にする(「はい」「なるほど」)
  • 表情を意識的に出す

❌ 技術トラブルであわてる

接続が切れた時にあわてると、復帰後のラポールが崩れる。

なぜ失敗するか: 「時間がもったいない」と焦り、復帰後にすぐ質問に戻る。

対策:

  • 事前に「切れたらこうします」を伝えておく
  • 復帰後は「お待たせしました」+雑談で空気を戻す
  • 切れたことは気にしない姿勢を見せる

実践チェックリスト

最低ライン(Must)

理想ライン(Better)


応用テクニック

非同期インタビュー

いつ使うか: 時差がある場合、ユーザーのスケジュール確保が難しい場合

ビデオメッセージやテキストで質問を送り、ユーザーが都合の良い時に回答する形式。

手順:

  1. 質問をビデオまたはテキストで送る
  2. ユーザーが録画または文章で回答
  3. 追加質問を送る(深掘り)
  4. 2〜3往復で完了

崩れるパターン: 深掘りのレスポンスが遅くなり、文脈が途切れる。1往復の質問数を3〜5に絞り、やりとりは1週間以内に完了させる。

ダイアリー+インタビュー

いつ使うか: 普段の行動を把握してからインタビューしたい場合

事前に数日〜1週間の日記をつけてもらい、それをもとにインタビューする。

手順:

  1. 日記フォーマットを送る(毎日5分で書ける量)
  2. 1週間つけてもらう
  3. 日記をもとにインタビュー
  4. 「この日のこの記録について教えてください」で深掘り

崩れるパターン: 日記の負担が大きすぎると参加者が離脱する。質問は3項目以内、所要時間5分以内が目安。


関連技術

前提となる技術

セットで使う技術

次に学ぶ技術


まとめ

  • この技術の本質: 対面の技術をベースに、リモート固有の制約に対処する技術
  • できるようになること: 地理的制約なく高品質なインタビューを実施できる
  • 次に学ぶべき技術: 記録・文字起こし(リモート録画を分析に活かす)

更新のお知らせ

サイトに載せていない実例や、新しい記事のお知らせはこちらで出しています。

読んだ内容を、自分の画面に当てるとき

UIXHEROは、記事を書くほかに、画面の検品・判定、デザインシステムの構築、実装と改善の伴走を受けています。何を頼めばいいか決まっていない段階の相談も、同じ窓口で受けます。

UIXHEROに頼めることを見る

※ 記事の内容についての質問や、書いてほしいテーマの要望も同じ窓口で受けています

記事をシェア

メールでお知らせを受け取る

最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

あわせて読みたい

この記事に関連する記事をご紹介します

バイアス制御|インタビュー技術

インタビューで発生するバイアスを特定し、制御するための技法。確証バイアス、社会的望ましさバイアスへの具体的な対処法。

2026年3月22日
7

傾聴技術|インタビュー技術

ユーザーの発話を正確に受け止め、深い語りを引き出す傾聴(アクティブリスニング)の技法。

2026年3月22日
7

沈黙の技術|インタビュー技術

インタビューにおける「間」の使い方。沈黙を味方にして、ユーザーの本音を引き出す技法。

2026年3月22日
5

もっと深く知りたいですか?

ここに掲載されていないトピックについても、リクエストがあれば解説記事を追加します。 わかりにくい点や、具体的な事例について知りたいことがあれば教えてください。

リクエストを送る