質問設計
この技術でできること
- 事実 を引き出す質問が作れる
- 無意識の 誘導質問 を避けられる
- 過去の行動 に絞った質問ができる
- 回答の質 をコントロールできる
例 : 悪い質問は「期待通りの答え」を引き出す。良い質問は「事実」を引き出す
なぜ難しいか
自然に聞こうとすると、人は 自分の期待を無意識に質問に混ぜてしまう 。
「この機能、使いやすいですよね?」と聞けば、ユーザーは「はい」と答える。でもそれは本音ではない。自分では中立に聞いているつもりでも、言葉選び・語尾・声のトーンに「こう答えてほしい」が漏れ出す。
質問設計の基本フロー
全体フロー
「オープン質問」→「クローズド質問」→「深掘り質問」。オープンで始め、クローズドで確認し、深掘りで詳細を得る。
質問の3タイプ
| タイプ | 目的 | 例 |
|---|---|---|
| オープン質問 | 自由に語ってもらう | 「その時どうしましたか?」 |
| クローズド質問 | 事実を確認する | 「先週使いましたか?」 |
| 深掘り質問 | 詳細を引き出す | 「もう少し詳しく教えてください」 |
基本原則 :
- オープン質問で始め、クローズドで確認し、深掘りで詳細を得る
オープン質問の作り方
基本形 :
- 「〜について教えてください」
- 「〜した時、どうでしたか?」
- 「〜についてどう感じましたか?」
良いオープン質問 :
✅ 「普段、買い物をする時のことを教えてください」
✅ 「最後に〇〇を使った時のことを聞かせてください」
✅ 「〇〇で困ったことはありますか?」
悪いオープン質問 :
❌ 「〇〇についてどう思いますか?」(意見を聞いている→態度であり行動ではない)
❌ 「〇〇は便利だと思いますか?」(誘導している)
クローズド質問の使い方
使う場面 :
- 事実を確認したい時
- 曖昧な回答を明確にしたい時
- 話を区切りたい時
例 :
「それは先週のことですか?」(時間の確認)
「使ったのはスマホですか?PCですか?」(手段の確認)
「つまり、〇〇ということですか?」(理解の確認)
注意 :
- クローズド質問ばかりだと尋問になる
- オープン質問とセットで使う
深掘り質問のパターン
| パターン | 例 |
|---|---|
| 具体化 | 「具体的に何をしましたか?」 |
| 時間軸 | 「その前は何をしていましたか?」 |
| 感情 | 「その時どう感じましたか?」 |
| 理由 | 「なぜそうしたんですか?」 |
| 比較 | 「以前と比べてどうですか?」 |
→ 詳細は深掘り技術を参照
避けるべき質問
❌ 誘導質問
質問の中に「期待する答え」が含まれている。
| 誘導質問 | 改善版 |
|---|---|
| 「この機能、使いやすいですよね?」 | 「この機能を使ってみてどうでしたか?」 |
| 「検索が遅いと感じませんか?」 | 「検索について何か気づいたことはありますか?」 |
| 「やっぱり〇〇が欲しいですか?」 | 「どんな機能があったら嬉しいですか?」 |
❌ 二重質問
1つの質問に複数の論点が含まれている。
| 二重質問 | 改善版 |
|---|---|
| 「検索と絞り込み、どちらが使いにくいですか?」 | 「検索についてはどうですか?」「絞り込みについてはどうですか?」 |
| 「いつ、どこで、どのように使いましたか?」 | 「いつ使いましたか?」→「どこで?」→「どのように?」 |
❌ 未来予測質問
「もし〇〇だったら使いますか?」は、ほぼ当てにならない。
| 未来予測質問 | 改善版 |
|---|---|
| 「この機能があったら使いますか?」 | 「この機能がない時、どうしていますか?」 |
| 「月額500円なら払いますか?」 | 「似たサービスにお金を払ったことはありますか?」 |
なぜダメか :
- 「使う」と言うのはタダ
- 実際の行動とは一致しない
❌ 専門用語質問
ユーザーが知らない言葉を使う。
| 専門用語質問 | 改善版 |
|---|---|
| 「UIについてどう思いますか?」 | 「画面のデザインについてどう思いますか?」 |
| 「オンボーディングはどうでしたか?」 | 「最初に使い始めた時のことを教えてください」 |
質問の順序設計
基本構造
1. ウォームアップ(答えやすい質問)
↓
2. 背景・文脈(日常の行動)
↓
3. 核心(課題・ニーズ)
↓
4. 詳細(具体的なエピソード)
↓
5. クロージング(言い残し)
例(ECアプリ改善)
【ウォームアップ】
・普段、ネットショッピングはされますか?
【背景・文脈】
・最後にネットで買い物をしたのはいつですか?
・その時、何を買いましたか?
・どのアプリ/サイトを使いましたか?
【核心】
・その買い物で、困ったことや迷ったことはありましたか?
・「もっとこうだったらいいのに」と思ったことは?
【詳細】
・その時の画面を見せていただけますか?
・具体的にどこで止まりましたか?
・結局どうしましたか?
【クロージング】
・他に何かお話しておきたいことはありますか?
インタビューガイドの作り方
テンプレート
【リサーチクエスチョン】
〇〇について、ユーザーはどのような課題を抱えているか?
【必ず聞く質問(コア質問)】
1. 〇〇について教えてください
2. 最後に〇〇をしたのはいつですか?
3. その時、困ったことはありましたか?
【状況に応じて聞く質問(サブ質問)】
・(Aと答えた場合)Aについてもう少し教えてください
・(Bと答えた場合)なぜBを選んだのですか?
【深掘りプロンプト】
・具体的には?
・例えば?
・その時どう感じましたか?
ポイント :
- 質問は5〜7個程度に絞る
- 順番はあくまで目安(会話の流れで変える)
- 深掘りプロンプトは常に手元に
よくある失敗
❌ 質問リストを読み上げる
用意した質問を順番に読み上げるだけになる。
なぜ失敗するか : 会話ではなく「アンケートの口頭版」になる。
対策 :
- 質問はキーワードだけメモ
- 相手の回答に応じて順番を変える
- 深掘りを忘れない
❌ 「なぜ」を連発する
「なぜですか?」を何度も聞く。
なぜ失敗するか :
- 尋問のように感じる
- 「なぜ」は責められている印象を与える
対策 :
- 「なぜ」を「どう」「何」に言い換える
- 「なぜそうしたんですか?」→「その時、どんなことを考えていましたか?」
実践チェックリスト
最低ライン(Must)
理想ライン(Better)
関連技術
前提となる技術
- ラポール形成 — 質問の前の関係構築
セットで使う技術
次に学ぶ技術
- 深掘り技術 — 質問の後の深掘り
まとめ
- この技術の本質 : 「何を聞くか」だけでなく、「どう聞くか」「どの順番で聞くか」まで含む技術
- できるようになること : ユーザーから本当の情報を引き出せる
- 次に学ぶべき技術 : 深掘り技術(質問の後の深掘り)
次に学ぶ技術: 深掘り技術