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深掘り技術|インタビュー技術

ユーザーの表面的な回答から本質的なインサイトを引き出す深掘り(プロービング)の技法。ラダリング、5 Whys、具体化質問の使い分け。

2026年3月21日
更新: 2026年8月27日
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by Dengen Yosho(DGYS)

深掘り技術

この技術でできること

  • 表面的な回答から本当の理由を引き出せる
  • ユーザー自身も気づいていない価値観に辿り着ける
  • 問題の根本原因を特定できる

: 「検索が使いにくい」という回答から、「実は商品名がわからないから画像で探したい」という本質的ニーズを発見できる


なぜ難しいか

深掘りは「なぜ?」を連発することではない。下手な深掘りは尋問になり、ユーザーを黙らせる

自然に聞こうとすると、人は自分の期待を無意識に質問に混ぜてしまう。「こういう答えが欲しい」という思いが質問に漏れ出し、ユーザーは本音ではなく「期待されている答え」を返す。深掘りには、この無意識を制御する技法がある。


深掘りの進め方

全体フロー

「表面的な回答」→「深掘り質問」→「本質的な」。目的に応じてラダリング・5 Whys・具体化を使い分ける。


3つの深掘り技法

技法目的使う場面
ラダリング価値観を掘る「なぜそれが大事か」を知りたい時
5 Whys原因を掘る問題の根本原因を特定したい時
具体化質問事実を掘る曖昧な回答を具体化したい時

技法1: ラダリング(Laddering)

目的: ユーザーの「価値観」まで辿り着く

やること: 表面的な属性から、本質的な価値観へ登っていく。属性 → 機能的利点 → 情緒的利点 → 価値観 の順で探る。

具体例:

ユーザー: 「iPhoneを使っています」

インタビュアー: 「iPhoneを選んだ理由は?」

ユーザー: 「ケースの種類が多いから」(属性)

インタビュアー: 「ケースが多いと何が良いんですか?」

ユーザー: 「自分好みの見た目にできる」(機能的利点)

インタビュアー: 「好みの見た目だと、どんな気持ちになりますか?」

ユーザー: 「持っていて気分が上がる」(情緒的利点)

インタビュアー: 「気分が上がると、あなたにとってどんな意味がありますか?」

ユーザー: 「自分らしさを表現できている感じがする」(価値観)

ポイント:

  • 「なぜ?」ではなく「〜すると何が良いですか?」「〜だとどんな気持ちに?」
  • 情緒的な言葉が出てきたら、価値観に近づいている

技法2: 5 Whys

目的: 問題の「根本原因」を特定する

やること: 現象 → 直接原因 → その原因 → さらにその原因 → 根本原因。「なぜ?」より「その後どうなった?」が答えやすい。

具体例:

ユーザー: 「このアプリ、使わなくなりました」(現象)

インタビュアー: 「使わなくなったは?」

ユーザー: 「通知が多すぎて」(直接原因)

インタビュアー: 「通知が多いと、どうなりましたか?」

ユーザー: 「全部オフにした」(行動)

インタビュアー: 「オフにした後は?」

ユーザー: 「アプリを開く理由がなくなった」(結果)

インタビュアー: 「通知がなくても開きたいと思うことは?」

ユーザー: 「特にない。通知で思い出してたので」(根本原因:習慣化の失敗)

ポイント:

  • 「なぜ?」より「〜した後どうなりましたか?」の方が答えやすい
  • 5回がルールではない。根本に辿り着いたら止める

技法3: 具体化質問

目的: 曖昧な回答を「事実」に落とす

やること: 「最後に○○したのはいつ?」「具体的に何をした?」「画面を見せて?」のパターンで、時間・場所・行動の3点セットで具体化する。

具体例:

ユーザー: 「よく使います」(曖昧)

インタビュアー: 「最後に使ったのはいつですか?」

ユーザー: 「えーと...先週かな」(やや具体的)

インタビュアー: 「先週のいつ頃ですか?何をしていた時?」

ユーザー: 「木曜の夜、電車の中で」(具体的)

インタビュアー: 「その時、何を探していましたか?」

ユーザー: 「週末の予定を確認してた」(事実)

ポイント:

  • 「よく」「いつも」「たまに」は全部曖昧。必ず具体化する
  • 時間・場所・行動の3点セットで聞く

よくある失敗

❌ 尋問モードになる

「なぜですか?」「なぜですか?」「なぜですか?」と連発すると、ユーザーは防御的になる。

なぜ失敗するか: 「なぜ」は相手を責めているように聞こえる。

対策:

  • 「なぜ」を「どう」「何」に言い換える
  • 「なぜそうしたんですか?」→「その時、どんなことを考えていましたか?」

❌ 深掘りしすぎて迷子になる

興味深い話に引き込まれて、本来聞きたかったことから離れてしまう。

なぜ失敗するか: を忘れている。

対策:

  • 手元にリサーチクエスチョンを置く
  • 3階層掘ったら一度立ち止まる
  • 「ここまでのお話、とても参考になります。少し話を戻して...」

❌ 答えを待てない

ユーザーが考えている時に、次の質問を被せてしまう。

なぜ失敗するか: 沈黙が怖い。

対策:

  • 3〜5秒は必ず待つ
  • ユーザーが考えている間は、うなずいて待つ
  • 沈黙の技術を参照

実践チェックリスト

最低ライン(Must)

理想ライン(Better)


応用テクニック

ミラーリング

いつ使うか: ユーザーが感情的な言葉を使った時、もう少し話してほしい時

ユーザーの言葉をそのまま繰り返すだけで、深掘りになる。

ユーザー: 「ちょっとストレスを感じて」

インタビュアー: 「ストレスを感じた...」

ユーザー: 「はい、なんか操作が多くて、えーと、毎回同じことを入力するのが...」

崩れるパターン: 何度も繰り返すとオウム返しに聞こえ、ユーザーが不自然さを感じる。1つの話題で1〜2回に留める。

仮説をぶつける

いつ使うか: 深掘りが行き詰まった時、ユーザーが「わからない」と言った時

あえて仮説をぶつけて反応を見る。

インタビュアー: 「もしかして、○○だから使いにくいとか?」

ユーザー: 「いや、それより△△の方が...」

注意: 仮説が当たっているか確認するのではなく、反応を引き出すために使う。

崩れるパターン: 仮説が具体的すぎると誘導になる。「〇〇ですよね?」ではなく「もしかして〇〇とか?」と軽く投げる。


関連技術

前提となる技術

  • 質問設計 — 深掘りの前に、最初の質問が重要

セットで使う技術

次に学ぶ技術


まとめ

  • この技術の本質: 「なぜ?」の連発ではなく、ラダリング・5 Whys・具体化の使い分け
  • できるようになること: 表面的な回答から本質的なインサイトを引き出せる
  • 次に学ぶべき技術: 傾聴技術(深掘りのタイミングを見極める)

次に学ぶ技術: 傾聴技術

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最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

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