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傾聴技術|インタビュー技術

ユーザーの発話を正確に受け止め、深い語りを引き出す傾聴(アクティブリスニング)の技法。

2026年3月22日
更新: 2026年8月27日
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by Dengen Yosho(DGYS)

傾聴技術

この技術でできること

  • ユーザーが安心して本音を話せる場を作れる
  • 発話の中から深掘りすべきポイントを見極められる
  • 「聞いてもらえている」という実感が、より深い語りを引き出す

: 同じ質問をしても、聴き方ひとつでユーザーの話す量と深さが変わる。傾聴ができるには、ユーザーが「そういえば…」と自ら語り始める


なぜ難しいか

人は相手の話を聞いているつもりでも、実際には次に何を聞こうかを考えている。

頭の中で次の質問を組み立てている時点で、ユーザーの言葉の半分は聞き流している。「ちゃんと聞いている」と思い込んでいるのが一番危険で、無意識のうちに自分の関心に合う話だけを拾っている。傾聴とは、この無意識を自覚し、制御する技術。


傾聴の進め方

全体フロー

「受け止める」→「確認する」→「深掘りのタイミングを見極める」。聴くことは受動的ではなく、能動的な技術。


3つの傾聴レベル

レベル状態聴いているもの
レベル1: 内的傾聴自分の思考に意識がある自分の関心・次の質問
レベル2: 集中的傾聴相手に意識が向いている言葉の内容・感情
レベル3: 全方位的傾聴場全体を感じている非言語・空気・間

インタビューで必要なのはレベル2以上。レベル1のまま聞いていると、重要な発話を見逃す。


ステップ1: 受け止める

目的: ユーザーの発話を判断せずに受け取る

やること:

  • ユーザーの言葉を最後まで聞く(途中で遮らない)
  • うなずき・あいづちで「聞いている」を示す
  • 内容に対して良い・悪いの判断をしない

具体例:

ユーザー: 「正直、このアプリ全然使ってなくて…」

悪い反応: 「え、なぜですか?」(すぐ深掘りに入る)

良い反応: 「使っていない…」(うなずきながら待つ)

ユーザー: 「…なんか、通知が来るたびにストレスで、開くのも嫌になって」

ポイント:

  • 最初の一言で飛びつかない。待つと続きが出てくる
  • 驚きや評価の表情を出さない(「えー!」「それはダメですね」は禁止)

ステップ2: 確認する(パラフレーズ)

目的: 正しく理解できているか確認し、ユーザーに「聞いてもらえている」と感じさせる

やること: 自分の言葉で言い換えて返す。ただし、意味を変えないこと。

具体例:

ユーザー: 「毎回同じ情報を入力するのが面倒で、途中でやめちゃうんですよね」

✅ 「入力の手間で離脱してしまう、ということですね」

❌ 「フォームのが悪いということですね」(解釈を足している)

パラフレーズの型:

  • 「つまり、〇〇ということですね」
  • 「〇〇と感じた、という理解で合っていますか?」
  • 「今のお話をまとめると、〇〇ですね」

ステップ3: 深掘りのタイミングを見極める

目的: 傾聴で得た情報から、いつ深掘りに入るかを判断する

やること: 以下のが出たら、深掘りのチャンス。

シグナル対応
感情を含む言葉「イライラする」「嬉しかった」感情の深掘り
曖昧な表現「なんとなく」「ちょっと」具体化質問
話題の転換「まあ、それはいいんですけど」元の話題に戻す
沈黙・ためらい「うーん…」「えっと…」待つ → 補助質問
矛盾「便利だけど使わない」矛盾の深掘り

具体例:

ユーザー: 「まあ、検索は…なんとなく使いにくいかな」

👉 「なんとなく」= 曖昧シグナル → 具体化質問

インタビュアー: 「最後に検索を使った時のことを教えてもらえますか?」


よくある失敗

❌ 次の質問を考えながら聞いている

ユーザーが話している間、頭の中はインタビューガイドの次の質問に飛んでいる。

なぜ失敗するか: 「全部の質問を聞かなきゃ」というプレッシャーで、聴くことより進行を優先してしまう。

対策:

  • 質問はキーワードだけメモしておく
  • 「聞き逃す」ことより「深く聞けない」ことの方がリスクが大きいと意識する
  • 録音していれば、後から確認できる

❌ すぐに解釈を加える

ユーザーの発話に対して、すぐに「つまりこういうことですね」と解釈を足す。

なぜ失敗するか: 早く理解したい。自分のフレームで整理したい。でもその解釈はインタビュアー側の仮説であって、ユーザーの意味とは限らない。

対策:

  • まず相手の言葉をそのまま繰り返す(ミラーリング)
  • 解釈を加える前に「もう少し教えてください」と聞く
  • パラフレーズは事実レベルに留め、原因の推測は入れない

❌ 共感しすぎる

「わかります!」「私もそう思います!」と過度にする。

なぜ失敗するか: インタビュアーが共感のポジションを取ると、ユーザーは同意を求め始める。本音ではなく「共感されやすい話」を選び始める。

対策:

  • 共感ではなく理解を示す:「そう感じたんですね」
  • 「わかります」より「もう少し教えてください」
  • 中立的な表情と声のトーンを維持する

実践チェックリスト

最低ライン(Must)

理想ライン(Better)


応用テクニック

感情ラベリング

いつ使うか: ユーザーが感情を含む発話をした時、でも直接的に感情を言葉にしていない時

ユーザーの感情を代わりに言語化して返す。

ユーザー: 「もう3回目なんですよ、同じ情報を入力するの」

インタビュアー: 「何度も同じことをさせられて、イライラしますよね」

ユーザー: 「そう!しかもエラーで消えることもあって…」

崩れるパターン: 感情を大げさにラベリングすると押し付けがましくなる。「すごく怒りを感じたんですね」より「ちょっとイラッとしますよね」くらいが自然。

ノートテイキングの使い分け

いつ使うか: インタビュー中のメモ取りと傾聴のバランスに悩む時

メモを取りすぎると傾聴が疎かになる。取らなさすぎると大事なポイントを忘れる。

  • 核心の発話: そのまま書く(「」付きで正確に)
  • 事実情報: キーワードだけ(「木曜・電車・週末予定」)
  • 感情・反応: 記号で素早く(★=重要、?=矛盾、!=感情)

崩れるパターン: 全部メモしようとすると、目線がノートに落ちてユーザーとのアイコンタクトが切れる。録音があるなら、メモはキーワードだけで十分。


関連技術

前提となる技術

セットで使う技術

次に学ぶ技術


まとめ

  • この技術の本質: 「聞く」ではなく「聴く」。判断を止め、相手の言葉を受け止める能動的技術
  • できるようになること: ユーザーが本音を語る場を作れる。深掘りのタイミングを見極められる
  • 次に学ぶべき技術: 沈黙の技術(傾聴の一部としての「間」の使い方)

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最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

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