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親和図法|インタビュー技術

コーディングしたデータをグルーピングし、テーマを発見する親和図法(アフィニティダイアグラム)の技法。

2026年3月22日
更新: 2026年8月27日
7
by Dengen Yosho(DGYS)

親和図法

この技術でできること

  • バラバラのデータから隠れたテーマを発見できる
  • チーム全員が同じデータから共通理解に近づける
  • 分析の過程を可視化し、説明可能な状態にできる

: 30個のコードがあっても、頭の中だけでは整理できない。は「似たもの同士を集める」という単純な操作で、4〜6個のテーマを浮かび上がらせる


なぜ難しいか

人は「分類する」と「意味づけする」を同時にやろうとしてしまう

カードを並べながら「これはこういう意味だ」と解釈を始めてしまう。すると、自分の仮説に合うグループを無意識に作ってしまう。親和図法はまず集めて、後から名前をつけるという順序が命。この順序を逆にした瞬間、ただの「仮説の確認作業」になる。


分析プロセス

全体フロー

「データをカード化」→「黙ってグルーピング」→「グループに名前をつける」→「テーマ間の関係を整理」。先にグループ名を決めない。集まった結果から名前が生まれる。


ステップ1: データをカード化する

目的: コーディング結果を物理的・視覚的に扱える形にする

やること:

コーディング分析で得たコードを、1つ1コードで付箋またはカードにする。

カードに書く内容:

  • コード(短いラベル)
  • 代表的な発話(1文)
  • 出典(ユーザー・発話番号)

:

┌─────────────────────────┐
│ 認証の手間              │
│ 「毎回パスワード入力が  │
│   面倒」               │
│ U1-03, U3-07, U5-12    │
└─────────────────────────┘

ツール選択:

環境ツール特徴
対面付箋+ホワイトボード手で動かせる直感性
リモートMiro / FigJamリアルタイム共同編集
個人スプレッドシートソート・フィルタが使える

ステップ2: グルーピングする

目的: 似たコード同士を近くに配置し、自然なまとまりを発見する

やること:

基本ルール:

  1. カードを1枚ずつ読む
  2. 「似ている」と感じたカードを近くに置く
  3. この段階ではグループ名をつけない
  4. 迷ったら単独で置いておく(無理に分類しない)
  5. 同じカードが複数グループに入りそうなら、コピーを作る

チームで行う場合:

  • 最初の10分は無言でカードを動かす
  • 他の人が動かしたカードを戻してもOK
  • 言語化する前に、手を動かす

なぜ無言が重要か:

  • 声の大きい人の意見にグループが引きずられる
  • 言語化すると、その言葉に縛られる
  • 手を動かすことで、直感的な類似性を活かせる

具体例:

【自然に集まったグループ A】
- 認証の手間
- パスワード忘れ
- ログイン画面での離脱
- 認証の改善要望

【自然に集まったグループ B】
- 送料の不透明さ
- 送料による離脱
- 送料無料ラインの不明確さ

【単独カード】
- カスタマーサポートへの信頼

ステップ3: グループに名前をつける

目的: 集まったカードの共通テーマを言語化する

やること:

  • グループを見て、「このカードたちは何を語っているか」を一言で表現
  • 名前は抽象的すぎず、具体的すぎず
  • 名前を先に考えてカードをはめ込むのはNG

名前の粒度:

  • 抽象的すぎ: 「不満」→ 何の不満かわからない
  • 具体的すぎ: 「パスワード入力への不満」→ カード1枚分でしかない
  • ちょうどいい: 「ログイン体験の」→ 複数カードを包含、かつ施策につながる

具体例:

グループA → 「ログイン体験の摩擦」
グループB → 「コスト可視性の不足」
単独カード → 保留(他のデータが入れば合流する可能性)

ステップ4: テーマ間の関係を整理する

目的: テーマ同士のつながりを可視化し、全体像を描く

やること:

  • テーマ間に矢印を引く(因果関係、影響関係)
  • 優先度を示す(カード枚数=頻度、強い発話の有無=強度)
  • 離れたテーマが実は同じ根本原因を持っていないか確認

出力例:

【親和図 結果マップ】

┌──────────────────┐    ┌──────────────────┐
│ ログイン体験の摩擦 │───→│ 利用頻度の低下    │
│ (5/5人, 12発話)   │    │ (3/5人, 4発話)    │
└──────────────────┘    └──────────────────┘
                              ↑
┌──────────────────┐          │
│ コスト可視性の不足 │──────────┘
│ (3/5人, 5発話)   │
└──────────────────┘

よくある失敗

❌ 先にカテゴリを決めてしまう

の問題」「機能の問題」「サポートの問題」と先にカテゴリを作り、カードを振り分ける。

なぜ失敗するか: 既存のフレームにデータをはめ込む作業になる。データから浮かび上がるテーマを見逃す。

対策:

  • カテゴリは最後に名前をつける
  • 「似ている」の直感を信じる
  • フレームワークは親和図の後に照合する

❌ 一人でやって完結する

自分だけの視点でグルーピングすると、偏りに気づけない。

なぜ失敗するか: 同じカードでも、人によって「似ている」の基準が違う。一人の判断は必ず偏る。

対策:

  • 最低2人以上で行う
  • 一人でやる場合は、時間を空けてやり直す
  • 結果を他の人に見せてをもらう

❌ グループが多すぎる/少なすぎる

20個のコードから15グループ(多すぎ)や2グループ(少なすぎ)を作る。

なぜ失敗するか: 多すぎ: グルーピングの意味がない。少なすぎ: 抽象的すぎて施策につながらない。

対策:

  • 目安は全コード数の1/4〜1/5(20コードなら4〜5グループ。あくまで目安で、データの性質で前後する)
  • 3枚以上のカードが集まるグループが自然
  • 1枚だけのグループは「例外」として保留

実践チェックリスト

最低ライン(Must)

理想ライン(Better)


応用テクニック

2段階グルーピング

いつ使うか: コード数が30個以上で、1回のグルーピングでは整理しきれない時

まず小グループ(3〜5枚)を作り、次に小グループ同士をさらにまとめる。

手順:

  1. 小グループを作る(10〜15グループ程度)
  2. 小グループに仮名をつける
  3. 小グループ同士をさらにグルーピング(4〜6大グループ)
  4. 大グループに名前をつける

崩れるパターン: 2段階目で無理に統合しすぎると、異なるテーマを一緒にしてしまう。「この2つは本当に似ているか?」を確認しながら進める。

仮説検証モード

いつ使うか: 既にある程度の仮説があり、データでしたい時

通常の親和図法(ボトムアップ)の後に、仮説のフレームで照合する。

手順:

  1. まずボトムアップで親和図法を完了
  2. 完了後に仮説のフレーム(例: AARRR、ジャーニーマップ)を並べる
  3. 親和図のテーマがフレームのどこに位置するか確認
  4. フレームでカバーされていない領域 = 仮説の穴

崩れるパターン: ステップ1を飛ばしてフレームから始めると、フレームの確認作業になってしまう。必ずボトムアップが先。


関連技術

前提となる技術

セットで使う技術

次に学ぶ技術


まとめ

  • この技術の本質: データから「テーマ」を発見するボトムアップの分析手法。先にカテゴリを決めない
  • できるようになること: バラバラのデータから施策につながるテーマを見つけられる
  • 次に学ぶべき技術: 抽出(テーマを施策に変換する)

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最終更新: 2026年8月27日

この記事を書いた人

Dengen Yosho(DGYS)

Dengen Yosho(DGYS)

UI/UXデザイナー兼デザインエンジニア デザイン歴25年以上 情報設計〜UIデザイン〜React/TypeScriptによる実装までを一気通貫で担当 大手企業のDXプロジェクトや決済アプリ領域で、デザインリードとして改善と構築を経験 現在はフリーランスとして、プロダクトのUI/UX改善とデザインシステム構築を支援 長年の実務の中で感じてきたのは、 「良いUI」はセンスではなく、再現可能な判断の積み重ねであるということ UIXHEROは、 心理学や行動科学の知見を、現場で使える設計言語に翻訳するための場所 関心領域は「ユーザーの行動が変わるUI」 人の認知・注意・意思決定の構造を理解し、 “なぜそのUIが機能するのか”を言語化することを目指している

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